閑話・問題
今更ながら、お母さんとナニーさんの間にそんな話があったとは知らなかった。
思いがけない話をされたが、聞きたかった事は聞けたので、そろそろ出発する事にした。
「じ… じゃあ、私はそろそろ行ってきますね。」
「了解。でも、今更だけど、1人で大丈夫?」
「大丈夫ですよ、ナニーさん。それに、治ったばかりのエルマーナを連れていって何かあっても困りますからね。」
「それもそうね。2人には、私から上手い事言っておくから気を付けてね。」
「分かりました、お願いします。では、いってきます。」
「はい、いってらっしゃい。」
ナニーさんに見送られ、懐から取り出した転移結晶で転移する。
◆
私は今、故郷メァーディスのお城の1室に転移していた。
「さてと…」
とりあえず、近くに置いてあるベルを鳴らす。
「何か外が少し騒がしいわね…」
待っている間、外の様子が気になった。
でも、あまり人に見られる訳にはいかない為、ここで人が来るのを待つ。
少しして、
コンッコンッ
扉がノックされる。
「どうぞ。」
入室許可を出すと、
「失礼します。」
声と共に、部屋の扉が開く。
「お帰りなさいませ、グラディウス様。」
そして、開いてすぐ、扉を開けた者が頭を下げてくる。
「ただいま、リリー。元気だった?」
私は、入ってきた者… 家妖精であり、アリーの母親であるリリーに挨拶を返す。
「はい、病気一つなく過ごさせて頂いております。それで、こちらに来られたと言う事は、何かしらあったと判断して宜しいのでしょうか?」
「えぇ。重大な報告があって戻ってきたんだけど、それより外が何だか騒がしいようだけど、どうかしたの?」
エルマーナの事を伝える前に、外の様子が気になった為、その事を聞いてみる。
「はい。少し問題が起こりました。」
「問題? 何があったの?」
リリーの様子から余程の事があったのか、少し身構えてしまう。
「それに答える前に、お1つグラディウス様にお伺いしたい事があるのですが、お答えして頂けますでしょうか?」
「私に聞きたい事? まぁ、答えられる範囲なら答えるけど、何かしら?」
「では、お伺いさせて頂きます。昨日から今日にかけて、グラディウス様は、どちらにおられて、何をされていたのでしょうか?」
「え?」
思いもしなかった質問に、すぐ答える事が出来なかった。
「お答えできないんですか!!」
そのせいで、何かしらの勘違いをさせてしまったのか、リリーが珍しく少し取り乱しながら、私に詰め寄ってきた。