29話・異変 2
来た道を戻ろうと、振り返るとそこにもすでに、数匹のゴブリンたちが待ち構えていた。
「くそ!! どうなってやがる!!」
「とりあえず、切り抜けるぞ!!」
「わ… 分かってる!!」
剣を引き抜く。
ゴブリンは、それを待っていたかのように、襲ってくる。しかも、ゴブリンは何故か、2匹ずつ襲ってきた。
「何だかわかんねぇが、確実に殺ってくぞ!!」
「分かってる!!」
とりあえず、襲ってくるゴブリンを斬っていく。
そんな事が、数十分も続く。倒したゴブリンの数は、既に、50匹にせまる。今は何故か、襲ってこないので、少しでも、体を休める。
「ハァハァ… どうなってやがる?」
「分からん… ハァハァ… だけど、何だか統率がとれている感じがする…」
「だよなぁ… っておい、あれ見ろよ!!」
「!? な… 何だよあれ!!」
そこには、ゴブリンの2倍近くの体躯のゴブリンがいた。
「ま… まさか… ゴブリンジェネラル!!」
「!? 何でそんなやつがこんな所にいるんだよ!!」
「だから、分かる訳ないだろそんな事!!」
俺は、レーヤに近づきに耳打ちする。
「あんなもんに、勝てるわけがねぇ。襲ってこない今がチャンスだ。後ろの方がゴブリンの数が少ないから、走って逃げるぞ。」
「それしか、手がないよな… 分かった。カウントはお前に任せる。」
「分かった。」
ゴブリンたちの、様子を確認する。
「今だ!!」
俺たちは、後ろのゴブリンたちを、切り捨てながら、走り出す。だけど、すぐその足が止まった。
「ば… バカな!!」
「どうなってる!!」
切り捨てた、ゴブリンの後ろにも、ゴブリンの2倍近くの体躯のゴブリンがいた。しかも、その足元には、アンダーとリングらしき無惨な死体が転がっていた。
「こいつらに、殺られたのか…」
「だろうな…」
「こりゃ、完全にヤバイな…」
「そうだな…」
「これなら、とっておいた高級酒を飲んどけば良かったぜ… なぁバイプ、帰れたら、それでいっぱいやろうぜ…」
「それは、楽しみだ。それじゃあ、なおさらここを切り抜けないとな…」
俺たちは、気を引き締め直し、前のゴブリンたちに、むかっていった。
◆
~数日後~
「マリヤさん、ちょっと今いいですか?」
「どうしたの?」
「この前、ギルドで暴れて、その罰として、回復草の採取の依頼を受けた、バイプさんのパーティーとアンダーさんたちのパーティーがあれから、帰ってきてないんです…」
「あの森は、基本は、スライムとゴブリンしかいない筈だから、Cランクパーティーの2組が戻らないなんて、可笑しいわね…」
「そうなんです…」
「分かったわ。私から、上に報告しておくわ。」
「すみませんが、お願いします。」
ギルドマスターは、少し前から不在なので、私は、その件をサブマスターに報告しに行った。
「冒険者が帰ってこない? そんな事で、わざわざ私に報告しに来るな!!」
サブマスターは、全く聞く耳を持たない。
「ですが、Cランクパーティーが2組も帰ってこないなんて、何があったとしか思えません!! ですから、調査隊の派遣…」
「黙れ!! 調査隊の派遣なんてしない。分かったなら、すぐ持ち場に戻れ!!」
「ですが…」
「2度も言わせるな!!」
「…分かりました。」
私は、部屋を後にする。