285話・罰
戻ると、グラディウスさんたちが出迎えてくれる。
僕の挨拶の後、エルマーナさんが続けてを挨拶し、皆に頭を下げる。
「あ、すみません!!」
戻ってくるのが遅れ、ナニーさんたちに心配をかけてしまったのは、あそこで眠った僕の責任でもあるので、同じく頭を下げる。
「2人とも、頭を上げてちょうだい。」
だけど、間を置かずして、ナニーさんより頭をあげるよう言われる。
すぐに頭をあげるのもどうかと思ったが、怒られそうな雰囲気の中、それを無視するのも悪いかと思い直し、言われた通り顔をあげる。
「確かに2人が帰ってこなくて心配したけど、ちゃんと無事に戻ってきたんだから、別に怒ったりはしてないわ。」
本当に怒っていないのか、ナニーさんの顔はニコリとしていた。
「ただ、えっちゃんは、治ったばかりなんだし、何があるのか分からないんだから、遅くなるならなるで、事前に一言言っといて欲しかったわ。」
正論過ぎて、返す言葉がなかった。
「だから今回は、心配かけた罰として、2人ともぐーちゃんの拳骨1回で許すわ。」
「「えっ!?」」
唐突のナニーさんのその宣言に、僕とエルマーナさんの声が重なる。
「あれ、聞こえなかった? だから、罰として、2人には、ぐーちゃんの拳骨を受けて貰います。」
「あ、いえ、それはちゃんと聞こえてます、ナニーさん…」
「あ、そうなのね。なら、早速… 「ち… ちょっと待って下さい、ナニー先生!!」 ん? どうしたの、えっちゃん?」
すぐナニーさんが、実行させようとした所で、エルマーナさんから待ったがかかる。
内心、たぶん罰は確定なんだろうなと思いつつ、拳骨を受けたくないその気持ちは同じだったので、その様子を見守る。
「あ、その、ナニー先生は、怒ってないんですよね?」
「えぇ。さっきも言ったけど、怒ってはないわね。」
「な、ならどうして拳骨何ですか?」
「そんなの簡単よ。怒ってはないけど、心配かけさせた事を許した訳じゃないからよ。」
「うっ…」
「ほらほら、もうなに言っても罰は受けて貰うんだから、潔く受けなさい。」
「はい、分かりました…」
ナニーさんの最後の言葉で、エルマーナさんが覚悟を決めた。
「じゃあ、ぐーちゃんお願い。」
「分かりました。じゃあ、まずは、エルマーナからね。」
「は… はい…」
エルマーナさんは、目をギュッと閉じながら、グラディウスさんに頭を向ける。
「一応、手加減するつもりだけど、私も心配したんだから、その分力はこめるからね。」
「は… はい…」
「じゃあ、行くよ」
そう言ってから、グラディウスさんが拳を握りしめ、エルマーナさんの頭に振り下ろした。