283話・痺れ
お姉様が、止める暇もなく、ノーリさんを起こしてしまう。
そして、起きて早々ノーリさんが謝ってきた。
「あ、いえ、私が起こさなかっただけですから。気にしないで下さい。」
「そっか、ありがとう。」
「あ、いえ…」
「ほらほら、いちゃついてないで帰るわよ、お二人さん。」
「な!?」 「お姉様!!」
突然、変な事を言い出すお姉様に非難の目をむける。
「ごめんごめん、ほら行くわよ。」
軽く謝ったお姉様は、そのまま歩きだしてしまう。
「はぁ… じゃあ、僕たちも行こうか、エルマーナさん。」
「はい!!」
先に立ち上がったノーリさんの手を借り、私も立ち上がるが、
「!?」
足が痺れていたみたいで、ふらついてしまい、
「っと、大丈夫?」
そのままノーリさんの胸へと倒れてしまう。
「す… すみません!!」
慌てて離れようとするが、足が痺れてうまく動けなかった。
「どうかしたの、大丈夫?」
先に行ったお姉様が戻ってきた。
「あ、すみません。どうやら、エルマーナさんの足が痺れているみたいなんです。」
「あぁ… じゃあ、私は先に戻って、エルマーナの無事を伝えに行くから、ゆっくり戻って来てちょうだい。」
「はい、分かりました。」
お姉様は、言った通り、1人で戻っていった。
「エルマーナさん。とりあえず、1度座りましょうか?」
「はい…」
ノーリさんに支えられながら、その場に座り直す。
「すみません、ノーリさん…」
「気にしないで。だって、僕のせいだと思うし…」
「え? それって、どういう…」
「あ、えっと… 僕が寝すぎたから、ずっと座りっぱなしだったと思うから。」
「あぁ、そう言う事ですか…」
てっきり、こっそりと膝枕していた事に気づかれたのかと思った。
「あぁ、そう言う事だよ。じゃあ、少し休んでから戻ろうか?」
「はい。」
その後、痺れから回復した私は、ノーリさんと家へと戻った。
◆
時は少し遡る。
「お姉様!!」
んん… 突然の大声で目が覚めてしまう。
とりあえず、何が起こっているのか確認しようと体を起こそうとしたが、頭の上に何かが乗っていた。
それに、地面の上に寝ていた筈なのに、頭の下は何故かとても柔らかく感じる。
とりあえず、目だけ動かし、状況を確認すると、
「!?」
どうやら、エルマーナさんに膝枕をされていた。
何でこんな事になっているのか分からず、内心慌ててしまう。
だけど、そんな僕の気も知らずに、いつの間にか来ていたグラディウスさんとエルマーナさんが会話を始め出す。
話の内容からどうやら、いつまでも帰ってこないエルマーナさんを心配したグラディウスさんが迎えに来てくれたみたいだった。