277話・名探偵エルマーナ
エルマーナさんより指摘を受け、それが的確すぎて、それを否定する材料がもうなかった。
「そして、食事の席での自己紹介の件で、お姉様やナニー先生たちが、ノーリさんとラウムが顔見知りである事を知らないようでしたので、ノーリさんとラウムの2人で、何かしらの話があって、顔見知りである事を隠しているんじゃないのかなって思うんです。」
「・・・」
「それで、2人が顔見知りである事を隠していると考えた際、ラウムの言動で気になる事があったんです。」
「ラウムさんの言動で気になる事?」
「はい、そうです。呪詛から目覚めてあの人が帰った後に、ラウムと少し話をしてからラウムに頼んで、後を追って貰ったんです。そして、帰ってきたラウムは、あの人がいなかったと私に言ったんです。」
「それのどこが気になったの? 特に可笑しい事はないと思うけど?」
「普通なら可笑しくはないんですが、その時ラウムが嘘をつく際によくとる動きをしてたんです。」
「へ… へぇ、そうなんだ…」
「はい。だからラウムは、追って行った先で、その人に会っていると思うんです。そしてそこで、何かしらの話があったんだと思います。それで、ラウムといつ出会ったのかはわかりませんが、その時に、顔見知りである事を隠すように、話したとすれば、ラウムが私にいなかったと言った事に対して説明がつくんです。」
「・・・」
「それに、今思えば、あの時ラウムは、身に覚えのないランプを持って行っていた筈なのに、戻ってきた時は持っていなかったので、それをその人に返したのではないのかなと思います。だから、今までの話を踏まえて、その人がノーリさんではないのかなと結論付けたのです。」
「・・・」
エルマーナさんの言っていた事全て正しすぎて、殆ど黙ってその話を聞くことしか出来なかった。
「ですから、ノーリさん。」
「何ですか?」
「ノーリさんが、私を助けてくれたんですよね?」
僕の方をむき、1度目に聞いた時よりも、確信めいているエルマーナさんに対し、もう否定する事が出来なくなった僕は、
「そうだね。僕が、エルマーナさんを助けたその人で間違いないよ。」
正直に助けた事を話した。
「やっぱりそうだんったんですね!!」
真剣だった表情から一変、とても嬉しげな表情に変わる。
そして、その表情のまま、何故か急にその場に立ち上がり出す。
「助けて下さり、本当にありがとうございました!!」」
いったいどうしたのかと聞く前に、立ち上がったエルマーナさんは、僕に深々と頭を下げてきた。