274話・お祝い…
エルマーナさんと少しでも仲良くなる為に、色々な話をしながら歩き、気付けば、ライアさんのいる巨木に到着した。
「おはようございます、ライアさん。朝御飯を持ってきました。」
そう言うと、昨日と同じく、木からライアさんが出てきた。
「おはよう… ん? エルマーナ回復したの?」
ライアさんは、挨拶を返してすぐに、僕の隣にいたエルマーナさんに気づいた。
「おはようございます、ライア様。はい、皆様のお陰で、回復しました。心配をおかけして、すみませんでした。」
エルマーナさんは、ライアさんに頭を下げるので、僕もそれにならい、一緒に下げておく。
「そう、良かった… 気にしないでいい… だから、頭を上げて…」
「はい、分かりました。」
頭を上げた所で、
「それよりノーリ、ご飯と例のあれ…」
ご飯を催促してきた。
「はいはい、分かってますよ。まずこれが、ナニーさんたちが作ってくれたお弁当で、これがいつもの果物です。」
「ありがとう…」
お弁当と果物を受け取ったライアさんは、それを落とさないように、ゆっくりエルマーナさんに近づき、
「はい、あげる…」
僕があげた果物を1つエルマーナさんに手渡した。
「あ、えっ…」
急に手渡されたエルマーナさんは、それに驚きながら、果物とライアさん、そして僕へと視線を行き来させる。
「お祝い… 治って良かった…」
「あ… ありがとうございます。」
「いい…」
エルマーナさんのお礼に対し、そう一言だけ返し、ライアさんは、近くの木を背に座り、お弁当を食べ出した。
やっぱりライアさんは、マイペースだなと思いながら、
「ライアさん。ナニーさんからの伝言なんですが、今日の夜に、エルマーナさんの快気祝いをするので、日が暮れる前に、1度家の方にいらして下さいとの事です。」
頼まれていた事を伝える。
「分かった… これ食べて、お昼寝した後行く…」
「分かりました。そう伝えておきます。では僕たちは、この辺で、失礼しますね。」
渡すものも渡したし、伝える事も伝えたので、ここにいてもマイペースなライアさんの食事の邪魔にしかならないと思い、そう話す。
「分かった… また後で…」
「はい、また後で。じゃあ、戻ろうかエルマーナさん。」
「はい。では失礼します、ライア様。」
食べながら、こっちに手を振ってくれているライアさんに、僕たちも手を振り返し巨木を後にする。
帰りも、行きと同様に話をしながら戻る。
花畑に差し掛かった所で、
「の… ノーリさん。もう少しだけ、私とお話しませんか?」
そうエルマーナさんが言ってきた。




