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271話・新しい友達

 エルマーナさんの事を聞き、大袈裟じゃないかと思っていた自分が、いかに浅い考えだったと少し後悔する。


「お… お姉様、もうその辺で…」


 話が止まったタイミングで、いつの間にか泣き止んで、今では顔を赤くしたエルマーナさんが、グラディウスさんを止めてきた。


「それもそうね。それで、エルは、どうするの?」


 グラディウスさんは、ニヤニヤしながら、エルマーナさんにそう聞いたので、僕も顔をあげ、エルマーナさんの返事を待つ。


「あの、えっと…」


 僕の方へと向き直ったエルマーナさんは、更に顔が赤くなっていたが、目をそらす事なくしっかりと僕の目を見てきて、


「ノーリさん。不束者(ふつつかもの)ですが、お願いします。」


 そう言ってくれる。

 こちらからお願いしたのだが、その真っ直ぐなエルマーナさんの視線に、気恥ずかしくなりながらも、


「僕の方こそ、至らない所があるかもしれませんが、お願いします。」


 そう言いながら、何気なく手を差し出すと、エルマーナさんは、一瞬驚きはしたが、すぐ笑顔になり、握り返してくれた。


「ふふ、2人とも私たちの事忘れてない? 端から見たら、お互い結婚の挨拶をしているように見えるわよ。」


 突然、グラディウスさんにそう言われ、僕たちはすぐ握っていた手を離し、お互い相手から視線を()らす。

 そして僕は、


「ちょ… グラディウスさん。変なこと言わないで下さい!!」


 これでもかとニヤニヤしているグラディウスさんに、抗議の言葉をかける。


「ごめんごめん。エルも、そんなに睨まないで。まぁでも、姉として、ノーリ君なら、全然エルの事任せてもいいと思うけどね。」


 その発言に、


「お姉様!!」


 今度は、エルマーナさんが声を出す。


「分かった分かった。もう言わないから、そんなに怒らないでよ、エル。でも、エルと友達になってくれてありがとう、ノーリ君。」


 ニヤニヤから、真顔に戻り、僕に対して頭を下げてくる。


「頭を上げて下さい、グラディウスさん。先程も言いましたが、エルマーナさんと友達になりたいのは僕の本心なので、グラディウスさんからお礼を言われるような事をした訳じゃありません。」


「そうだったわね。ごめんなさい。」


「いえ、僕の方こそ生意気言って、すみません。」


「いいのよ、気にしないで。」


 話が一段落ついた所で、


「じゃあ、エルに私以外の友達が出来た事だし、私とも友達になりましょう、ノーリ。」


 今まで僕たちを静観していたラウムさんが、そう言ってきた。

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