261話・紹介
私は、ささっと顔を洗い、アリーが持って来た物で顔を拭き、皆が来る迄、食堂の方で待っていたら、ナニーが先に1人でやって来た。
「あれ? 他の皆は?」
「あ、おはようございます、ラウム様。ぐーちゃんたちは、もう少ししたら来られると思いますよ。私は、アリーの手伝いをする為に、先に戻って来ました。」
「あぁ、そうなのね。」
「それよりも、ラウム様。お1つ聞いても宜しいですか?」
「ん? どうかしたの?」
「そろそろぐーちゃんたちと一緒に、ノーリ君… ぐーちゃんが連れてきた冒険者の男の子もここに来ますけど、姿を現したままで宜しいのですか?」
「!? そ… そう言えばそうだったわね。それじゃあ、ノーリが来る前に、姿を消しておくわ。あ、後それと、私の事は、ノーリに紹介して貰うつもりだから、紹介したら、ここで一緒に食事をとるつもりだから、椅子の準備をしておいてくれる?」
「はい、分かりました。準備しておきますね。」
「お願いね。」
そう言って、姿を消して、少ししたら、3人がやって来た。
皆が席についた所で、グラディウスに近寄り、私の事を紹介するように、耳打ちする。
◆
「グラディウス。」
ラウム様より、声をかけられる。
いつもの事なので、驚きを顔に出さないように、ノーリ君の事をチラッと確認しながら、返事をする。
「どうかしましたか?」
「私の事を紹介してくれる?」
「はい、分かりました。」
私は、言われた通り、ラウム様の事を紹介する為、ノーリ君に声をかける。
◆
食事前に、グラディウスさんが、話しかけてくる。
「紹介したい人ですか?」
そう言われ、とある人物の顔が思い浮かんだ。
「はい、そうです。いいですか?」
「はい、大丈夫です。」
「なら、紹介させて貰うわね。」
そう言うと、グラディウスさんの隣に、ラウムさんが姿を現した。
「この方は、ラウム様です。エルの事を助ける為に、助力してくれた方です。」
「ラウムよ。宜しくね、ノーリ」
ラウムさんは、さらっと、僕の名前を呼んできた。
「はい… えっと、どうやら僕の事を知っているようですが、一応自己紹介しときますね。僕は、冒険者をやっていますノーリと言います。グラディウスさんの護衛という名目で、こちらに来させて貰いました。こちらこそ、宜しくお願いします、ラウムさん。」
夜の出来事は、2人だけの秘密になっているので、初めて会った風を装い、ラウムさんに自己紹介しておく。
それが終わると、ラウムさんは、空いていた僕の隣に腰掛け、食事が始まった。