26話・とあるアイテムの素材集め 2
「な… 7階層と8階層の地図が欲しいです…」
僕がそう言うと、マリヤさんの顔が笑顔のまま固まった。
「わ… 私の聞き間違いかなぁ、何階層って?」
何気のその笑顔が怖い…
「な… 7階層と8階層の地図が欲しいです…」
「聞き間違いじゃないのね… ノーリく~ん!!」
「は… はい!!」
「無理なく頑張ってるんじゃなかったの~!!」
「そ… そのつもりなんですけど…」
「ふ~ん、まぁいいわ。」
「そ… それで、どのくらい何なんでしょうか?」
「1枚、15000ギルね。」
「15000ギルですか…」
手が出せない訳ではないがどうしたものか…
でも、僕が作りたいアイテムの素材が8階層から現れるモンスターがから取れるんだよなぁ… なら、答えは一つか…
「なら、1枚ずつ下さい!!」
「分かったわ。でも、無理だけはしないでね?」
「分かってます。」
僕は、アイテムボックスから、1000ギル銀貨を30枚取り出し、マリヤさんに手渡す。
「確かに、頂いたわ。地図を取ってくるから、少し待っててね。」
「はい。」
マリヤさんは1度奥に入っていき、すぐに戻ってきた。
「こっちが、7階層の地図でこっちが、8階層の地図になるわね。」
「ありがとうございます。」
受け取った地図をそのままアイテムボックスに入れる。
「それじゃあ、これで帰りますね。」
「あ、ちょっと待ってノーリ君!!」
「どうしました?」
「ちょっと、ギルドカードを貸してくれる?」
「ギルドカードですか? 分かりました。」
ギルドカードを取り出し、マリヤさんに手渡す。
「ちょっと待ってね。」
手元で、何かを操作した後、ギルドカードを返してくれる。
「おめでとうノーリ君。冒険者ランクが上がったわよ。」
「え?」
「ちょっと、こっちに来て、ノーリ君。」
「?」
とりあえず、マリヤさんに体を寄せる。
すると、マリヤさんが耳元で囁く。
「ノーリ君は元々、回復草の採取で規定依頼回数を達していたから、後は、討伐依頼を何回かするだけで、ランクが上がる筈だったの。」
「そうなんですね… それって教えていいんですか?」
「本当は、ダメだから内緒よ。」
マリヤさんは、ウインクしながらそう言ってくる。
「あれ? でも僕、討伐依頼受けてないですよ?」
「ノーリ君、ダンジョンでモンスター倒して魔石を換金してるでしょ?」
「はい、してますけど、それがどうかしたんですか?」
「それを、討伐依頼達成として、カウントしたの。」
「!? そんな事して、良かったんですか?」
「あんまり、良くはないけど、そこまで問題視する事でもないわね。」
「何から何までありがとうございます、マリヤさん!!」
「ふふ、いいのよ。それよりも、本当に無理しないでね?」
「はい!! それじゃあ、ここで失礼しますね。」
そう言ってから、ギルドを後にする。
◆
それから、1週間がたった。
すぐに、7階層へは潜らず、最初の4日間は、午前中にダンジョンの石集め。午後から6階層でモンスターをひたすら倒し、素材集めと金策をしてから、装備品を一部一新した。今の装備は、
二重付与の剣(小鬼殺し(中)・液体生物殺し(中))
二重付与の皮鎧(身体強化(中)・物理耐性(中))
二重付与の服(身体強化(小)・物理耐性(小))
二重付与のズボン(身体強化(小)・物理耐性(小))
物理耐性のバックラー(物理耐性(小))
になっている。
回復薬(小)もいつもより、多めに、作った。
本当は、効果を全て中・もしくは大にしたかったが上層だとモンスターもほとんど刈られており、魔石集めの効率が悪かったし、僕が作りたいアイテムにも使う為、上げる事が、出来なかった。
残りの3日間で、7階層を攻略し、8階層へ到達した。