259話・もしかして…
ナニーさんの言った通りに、紹介は後にし、先に4人で顔を洗いに行く。
まぁ、一緒と言っても、そこにむかう迄で、一応3人が顔を洗うのを扉の外で待ってから、3人が顔を洗い終わった後、ささっと顔を洗う。
洗ってから洗面所から出ると、グラディウスさんとエルマーナ様が扉の近くで待ってくれていた。
「す… すみません、お待たせしてしまったみたいで!!」
先に行っていると思っていたので、僕は慌てて、2人に謝る。
「気にしないで、ノーリ君。私たちが勝手に待ってただけだから。ね、エル」
話しかけられたエルマーナ様は、小さく頷く。
「それじゃあ、行きましょうか。」
「はい。」
何となく、エルマーナ様からの視線を感じながら、3人で食堂へむかった。
◆
4人で洗面所へむかう。
ノーリ君は、律儀に外で待つみたいなので、私たちは手早く終わらせ、ノーリ君と交代し、洗面所から出る。
「じゃあ、私はアリーの手伝いをしてくるけど、2人はどうする?」
洗面所から出たタイミングで、ナニーさんがそう言ってくる。私もそれを手伝おうかと思ったが、急に袖を引かれ、
「お姉様、あの方をお待ちしませんか?」
エルがそんな事を言い出した。
「ノーリ君を? それは別にいいけど、どうかしたの?」
「あ、いえ、ちょっと気になる事がありまして…」
少し顔を赤くしながら、エルがそう答える。
気になる事? はっ!!
私は、バッとナニーさんの方をみると、ナニーさんも、驚いた顔をした後、すぐにニコニコ… いや、ニヤニヤしながら、頷いてきた。
やっぱりそうなのかと思いながら、
「じゃあ、エル。ノーリ君を待ってましょうか。」
「はい。」
私とエルは、ノーリ君を待つ事にし、ナニーさんは、
「えっちゃん、頑張ってね。」
そう残して、アリーの元へとむかった。
「あの… いったい何を頑張るんでしょうか?」
ナニーさんがいなくなると、エルがそう聞いてきた。
あれ? 私たちの勘違い? それとも、もしかして、エル自身、ノーリ君への気持ちに気付いてない?
なんて返事をしようかと、考えたすえ、
「えっと、エルは目覚めたばかりなんだし、国に戻ってからの事についてじゃないかな?」
結局どちらなのか分からなかった為、そう答えた。
「あぁ、確かに国に戻ったら色々ありそうですね…」
特に不振がる事なく納得したようだけど、エルが少し沈んだ様子になった。
「そうよね…」
確かに、エルにあんな事をした奴もまだ分かってないし、また何かしてくるかもしれないから油断出来ない。
「あ、でも早くお父様とお母様に元気な姿をお見せしたいです!!」
だけどすぐに、沈んだ様子から一変、とても元気よくなった。