表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

317/389

257話・お腹

「大きな声がしましたけど、どうかされましたか?」


 何も知らない風を装い、開いてある扉から、隣の部屋へと入らせて貰う。

 僕が中に入る前に、ラウムさんの姿が見えなくなった。たぶん夜更けに見せてくれた例の姿を見えなくするあれだろう。

 これで、ラウムさんの事を一旦気にしなくて済む。

 それで中では、おとぎ話に出てくるメデューサに睨まれた石像のように、身動き一つせず固まったナニーさんとアリーさんがいて、その奥では、グラディウスさんに抱き締められているエルマーナ様がいた。

 内心、ちゃんと呪詛が解呪されたようで安心した。

 グラディウスさんと目が合い、僕が入ってきた事に気づいたようで、口を開こうとしようとした所で、


「ぐ… ぐーちゃん!! いったいどうなってるの!!」


 固まっていたナニーさんが復活し、慌てた様子で、グラディウスさんに詰め寄った。

 ナニーさんの後ろでは、アリーさんがとれるじゃないかと心配させるほど物凄い勢いで、首を縦に振っていた。

 僕はいうと、エルマーナ様が解呪された事を知らないふりをしないといけないので、とりあえず目を見開き驚いたふりをしておく。


「落ち着いて下さい、ナニーさん。アリーも、そんなに首を振ると痛めるよ。それと、私も今さっきここに来て気づいたばかりですから、今からエルマーナから話を聞こうと思った所です。」


「そ… そう。なら、私も話を一緒に聞かせて貰うわね。でも、その前に…」


 ナニーさんが、グラディウスさんごとエルマーナ様を抱き締めた。


「良かった… 本当に、良かった…」


 こちらからは見えないが、ナニーさんの声は震えており、泣いているのが分かる。

 それは、グラディウスさんやエルマーナ様も同様で、少しの間、部屋の中はすすり泣く声のみとなった。


「ずずぅ… じゃあ、えっちゃん、今から話を聞かせ… 「ぐ~~」」


 ナニーさんが鼻をすすり、そう話し出した所で、誰かのお腹の音が鳴った。

 鳴ったであろう方を見てみると、グラディウスさんの胸に顔を埋め、耳まで赤くなっているエルマーナ様がいたので、誰だったのかを悟った。


「そ… その前に、朝食の用意も出来てるし、先に腹ごしらえをしましょうか?」


 ナニーさんも誰のお腹が鳴ったのかを悟ったのか、そう提案し、


「そうですね。私も、お腹ペコペコですし、話しは、食べながら出来ますしね。」


 グラディウスさんも、すぐにその案に賛成する。


「す… すみません、お願いします…」


 埋めた顔をあげ、真っ赤な顔のまま、エルマーナ様も賛成した。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ