254話・提案
目が覚めると、横ではまだ気持ち良さそうにラウムが寝ていた。
その寝顔を見て、私にかけられていた呪詛が治ったんだと自然と笑みが溢れ、改めて生を実感する。
その後、起きてナニー先生らに呪詛が治った事を報告しようかとも思ったが、治った経緯を説明する上で、ラウムから話して貰った方がいいかなと思い直し、ラウムが自分で起きるまで、私も再び横になり待つ事にした。
◆
「んん…」
まだ少し眠たい感じがあったが、習慣になっていたせいか、いつもの時間に目が覚めてしまう。
「おはようございます、ラウム」
目が覚めたと同時に挨拶されたので、
「おはよう…」
少し寝ぼけながら挨拶を返し、誰が挨拶をしたのか確認した所で、
「エル!!」
エルが起きてる事で、目がパッチリ覚める。
パッチリ覚めたおかげで、頭が働きだしたのか、昨夜の事を思い出す。
「そっか、治ったんだったわね…」
自然とそう口から出て、涙が溢れる。
それを見て、エルがギュッと抱き締めてくれる。
「もう大丈夫よ、エル。」
だけどすぐに、誰かに見られている訳ではないが、この状態が少し恥ずかしくなったので、そう伝える。
「分かりました。」
離れ際のエルの顔が笑顔だったので、更に何だか恥ずかしくなる。
「じゃあ、ラウム。今から、ナニー先生たちに呪詛が治った事を報告しに行こうと思いますので、昨日起こった事を一緒に話してくれますか?」
「えぇ、構わな… いや、やっぱり、ちょっと待って。」
「どうしました?」
「今丁度、グラディウスがここに来てるの。」
「え、お姉様がいらっしゃってるんですか!!」
「えぇ、本当よ。」
「なら、すぐにでも治った事を報告にいきましょう!!」
「だから、それをちょっと待って頂戴。」
「え、どうしてですか?」
私は、ニヤリと笑いながら、先ほど思いついた事を話す。
「サプライズですか?」
「えぇ、そうよ。」
グラディウスがこっちに来た時は、朝食の準備が出来たら呼びに来てくれるので、それを利用し、グラディウスにサプライズを仕掛けようと提案した。
「でも… 「ラウム様、グラディウスです」 !!」
エルが何か言う前に、グラディウスがやって来た。
「ほら、エル横になって!! タイミングは、グラディウスがエルに近寄って、朝の挨拶をした時よ。」
そう手早くエルに小声で話しながら横にならせ、グラディウスに返事をし、中に招き入れる。
◆
ラウムから、お姉様にサプライズを仕掛けようと提案された。
少し面白そうと思ったけど、今まで心配させていたので、やっぱり普通に報告しようと、提案する前にお姉様がやって来た。




