253話・少しの違和感
朝食の準備が出来たようなので、ノーリ君たちを起こしにむかう。
むかう途中、ここに来るまでの野営で、ノーリ君の寝起きがいい事は分かっているので、下手したらもう既に起きているのでは思い、その前に、エルの顔でも見てからノーリ君に声をかける事にした。そして、ついでに、ラウム様と話をし、ノーリ君にラウム様自身を紹介するかどうかの確認もしておく事にした。
エルの部屋前に到着し、そこまで大きな音をたてない程度のノックをしながら、
「ラウム様、グラディウスです」
一応声の大きさも抑えつつ、声をかける。
部屋の中で、少しどたばたと音がした後、
「入っていいわよ」
いつものように、ラウム様から入室許可がおり、中へと入る。
中では、既に起きていたのか、ベッド前にラウム様は立っており、ベッドではいつもより顔色の良いエルが横になっていた。
「おはようございます、ラウム様」
「おはよう、グラディウス」
変わりないただの挨拶なのに、何故か少し違和感を覚えた。
「私の顔をそんなに凝視して、どうしたの?」
気付かぬ内に、ラウム様の顔を凝視していたのか、首を傾げながら、不思議そうに聞いてくる。
だけど、それに私が答える前に、
「っ!! もしかして、ヨダレでもついてる!!」
ラウム様は、慌てた様子で、口元を拭い出した。
「あ、いえ、何でもないです。ヨダレもついてないので、安心して下さい」
「そ… そう。なら、良かった…」
ついてないと分かり、ラウム様は、拭うのを止め、
「それで… ふぁ… どうしたの?」
途中、欠伸をしながら、私がここに来た理由を尋ねてくる。
「朝食が出来たようなので呼びに来たのとノーリ君にラウム様の事をお話しするかどうか相談しておこうと思ったんですが、眠いようですが、どうかされたんですか?」
「昨日の夜に、色々あって寝るのが遅くなったからね。まだ少し寝たりないだけよ」
「そうなんですね。なら、どうされますか?」
ラウム様に判断を任せる。
「ノーリに会うことよね? 眠いのは少しだけだから、問題ないわ。だから、ノーリに私の事を紹介して貰える?」
気のせいか、ノーリ君を呼ぶのに少し親しみがこもっているように感じた。
「…分かりました。なら、そのように準備しておきます」
「えぇ、お願い」
「では、私は、ノーリ君にも声をかけてきますから、ラウム様も準備が出来たら来て下さい」
「了解。それで、いつものようにエルにも朝の挨拶をしていくでしょ?」
何でラウム様は、こんな事を言うのか分からないが、
「? はい、そのつもりです」
一応そう返事をし、私は、ベッドで横になっているエルの元への近寄っていく。




