表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

308/389

248話・話さない理由

 ラウムさんは、深々と頭を下げながら、お礼を言ってきた。


「頭を上げて下さい、ラウムさん。」


 言い訳も思いつかず、全てばれているみたいなので、もう諦めた僕は、とりあえずラウムさんに頭を上げて貰うよう頼む。


「分かったわ。」


 ラウムさんは、僕の言った通り頭を上げてくれる。

 そして、頭を上げて早々に、


「それで、ノーリ。今回起こった事の説明は、当然聞かせてくれるわよね?」


 と、有無を言わせぬ勢いで聞いてくる。

 もしかして、お礼を言ってきたら帰ってくれるかなという淡い希望は失くなってしまった。


「はぁ… 分かりました。ただその前に1つ聞いてもいいですか?」


 その事について答える前に、ある事を確認する為にそう聞いてみる。


「なに?」


「今現在で、僕が、エルマーナ様を助けた事は、誰が知ってますか?」


 グラディウスさんたちが今この場におらず、1人で来た事を考慮して、もしかしたらという思いで尋ねてみる。


「グラディウスや、ましてやエルにすらこの事を伝えていないから、今は私1人だけね。」


 ラウムさんの言葉を聞き、やっぱりと思いながらも、聞き返してしまう。


「ほ… 本当ですか?」


「えぇ、本当よ。」


 内心良かったと思いつつ、そうなると、ある疑問が湧いて来たので尋ねる。


「でも、どうして僕の事を話さなかったんですか?」


「ノーリの一連の行動を見て、もしかして、グラディウスたちには、知られたくないのではと思ったからだけど、違った?」


「いえ、その通りです。でも、ラウムさんは、エルマーナ様と契約されていると言っていたし、もしエルマーナ様に、この事を聞かれたら、普通は答えるんじゃないんですか?」


「確かに、答えてもいいのだけど、契約しているからと言って全部が全部答えないといけないって事はないわね。」


「そうなんですね… でも、それだとラウムさんが答えるのを黙る理由が分からないんですか?」


「そんなの簡単な事よ。さっきも言ったけど、ノーリが、エルにしてくれた事を、他の誰かに知られないように隠しているから、私もそうしているだけよ。これでも、ノーリには本当に感謝しているから、そんな貴方に対して、恩を仇で返すような真似は絶対しないわ。だから、ノーリがそれを望む間は、私が、今回の件を他の誰かに口にするつもりは一切ないから安心して頂戴。」


「そうなんですね… ありが…」


 ラウムさんの優しさを垣間見たような気がしてきて、感謝の言葉を口にしようとした所で、ふと気になる事が出来た。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[良い点] …ラウム…まだ幼いのに(精霊換算)ちゃんと考えてて良かった!…ほっ… [気になる点] …さ~て、あとはグラさん達か…一人なら黙りする方法しかとれませんが、ラウムの協力があれば誤魔化すことは…
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ