246話・見知らぬ女の子
エルに返事をしてから、椅子の上に置いてあったランプを手に取り、私は隣の部屋へと転移する。
転移してすぐに、私はノーリに自分の正体を明かし、大声を出さないように伝えようと思っていたのだが、私が転移した事に対する反応がなかった。
「あれ?」
ランプを掲げ周りを確認すると、ノーリは、既にベッドの上で寝ていた。
エルと話していたとは言え、まさか既に寝ているとは思わなかったので、一瞬、寝ているのを起こすのを躊躇ったけど、私としても今2人きりで話すタイミングを逃すと聞きたい事を聞く事が出来ないかもしれないので、起こす事にした。
テーブルにランプを置いてから、ベッドに近寄り、ノーリの肩を揺すり出す。
◆
「ううん…」
体を揺すられたような気がし目を覚ます。
目を擦りながら、誰が起こしてきたのか確認する為、顔を動かすと、すぐ傍に誰かが立っていた。
位置的に、テーブルの上でランプはついているようだが、光が弱いせいか、立っている人の顔までははっきり見えなくて、誰かまでかは分からなかった。
だから、体を起こし、改めて誰なのか確認する。
「!?」
薄暗いままだが、体を起こした事で、立っている人の顔が分かるようになったのだが、見た事のない女の子だった。
何故ここにいるのか不思議がりながら、貴方は誰なのか尋ねようとする前に、
「寝ている所起こして悪いわね、ノーリ。」
目の前の女の子が、僕の事をノーリと認識した上で、先に話しかけてきた。
「あ、いえ、大丈夫です…」
確かに眠いけど、それでも起こしに来たからには何かしらの理由があるのだろうとそう答え、
「それより、貴方は誰でしょうか? それに、どうして僕の事を知っているのでしょうか?」
新しく気になった事と一緒に、誰なのか尋ねてみる。
「そう言えば、こっちが一方的に知っているだけだったわね。私の名前は、ラウムと言って、エル… エルマーナと契約している精霊で、貴方の事を知っていたのは、グラディウスから話を聞いていたからだね。」
「そうだったんですね…」
僕の事を知っている理由は理解したし、確かに、何となく人ならざる雰囲気を感じるから、目の前の女の子が、精霊なのも嘘ではないと思う。
「それで、ラウムさんと呼ばせて貰いますけど、ラウムさんは、どうして、僕を起こしに来たんですか?」
目の前の女の子が誰なのか分かったので、次に気になった事を尋ねてみる。
作者より(一部変更)
245話のノーリが転移した後の描写を少し変えてます。
(変更前の一連の流れ)
転移→一言→ベッドに横になる
(変更後の一連の流れ)
転移→ベッドに横になる→一言
後、閑話・ラウム8の最後も変更してます。




