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閑話・ラウム 6

 一瞬、あれはもしかして例の物ではと思ったのだが、よくよく考えてみれば、そんな事ある訳ないかと、そう思った瞬間、


「エリクサーは、かなり手間取るから、エルマーナ様に飲ます直前までは出さない方がいいな…」


 その発言を聞き、私の体は固まってしまった。

 たけど、すぐ固まっている暇はないと、考えを巡らす。

 最初に思い浮かんだのが、ここで姿を現して、ノーリから話を聞くというものだったが、


『いや、それはまだ早計か…』


 ノーリが持っている物が本物かどうかも分からないし、かといって、ここで急に私が姿を現して、それは本物かどうか聞くのも、なぜその事を知っているのかと逆に怪しまれる可能性が高い。

 それに、今一度、落ち着いて考えを巡らせてみた所、何点か少し気になる事があった。

 この際、あれが本物かどうかはひとまず置いといて、どうしてあれを持っている事をグラディウスたちに教えないのか、それに、何故そんな貴重な物を、会って間もないエルに使用してくれるのか…


『分からない事だらけで、嫌になるわね…』


 でも、それでエルが助かる可能性があるのなら、それでいい。

 ただ本当に、あれが本物なのか分からないし、エルを助けてくれようとしている事は分かっているのだが、まだエルに危害を加える可能性がないとは言いきれないので、私は、継続してノーリの事を観察する。



 ◆



 暫くしてから、ノーリが動き出した。

 アイテムボックスから、転移結晶を取り出したのを見届けた所で、私は先にエルの部屋へと移動する。

 エルの傍へ移動した所で、すぐにノーリも扉の近くに転移してきた。

 転移後すぐに、エルの寝ている近くまで来て、例の物を取り出し、ついでに私からしたら今更だけど、顔を隠す為のローブを取り出していた。

 そして、ノーリが、エルに例の物を飲ませる所を私は、じっと眺める。

 すると、徐々にエルの顔に赤みが戻ってくる。

 それを見て、あぁエルは助かったんだと込み上げてくるものがあった。

 その間にも、ノーリは、エルを寝かせ、すぐにでも転移結晶で、戻ろうとする。

 私は、目元をぬぐい姿を現せて、ノーリにお礼を伝えようか思った所で、エルが目を覚ました。

 エルの発した言葉に驚いたのか、戻ろうとしたノーリの手元から転移結晶が落ち、その音に気づいたエルがノーリに気づいてしまった。

 そのせいで、ここで私が姿を現して話をややこしくする訳にもいかず、お礼を伝えるタイミングを逃した私は、どうなるのかを見守った。

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― 新着の感想 ―
[一言] …ラウムは少し、自分の立場になって、ノーリの事を考えるべきやなぁ…隠す理由も助ける理由も、あんたとほぼ同じやん! …知り合って、困ってるから助ける! …隠すのは利用されないように、情報を広…
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