2話・宝箱作製の能力 1
草むらから誰かが表れた。
そいつは、歪んだ顔に、緑色の皮膚、薄汚い腰布… ゴブリンだ。しかも、手には、錆び付いた剣を持っている。
ゴブリンは、基本複数匹で行動すると言われているが、運良く1匹だけのようだ。まぁ、出会った時点で、運は悪いんだけどね。
「グギャギャ」
ゴブリンは、薄笑いを浮かべながら僕にむかって来る。僕は、回復草を入れてある鞄を投げ捨て、すぐさま腰に差してある剣を引き抜く。
ゴブリンは、剣を振り下ろしてくる。
「うっ!!」
何とか受け止めたが、力はゴブリンの方が上のようだ。剣をずらし、体勢の崩れたゴブリンを力の限り蹴り飛ばし、僕は、距離をとる。
「グギャ!!」
蹴られたゴブリンは、少し転がったが、すぐ起き上がる。あまり、ダメージを受けているようには見えない。
「グギャ~!!」
しかも、かなりお怒りだ。ゴブリンは、再びむかって来る。
僕は、怒ったゴブリンにむかって、距離をとった時に掴んでいた土を顔めがけて投げつける。
「グギャ!!」
よし、ちゃんと目に入った。
今度は僕から、ゴブリンにむかって行く。ゴブリンは、まだ目が見えないようで、めちゃくちゃに剣を振り回しているが、後ろに回り込み、軽くジャンプしながら、体重を込めた一振りを首めがけて、振り下ろす。
少しの抵抗感を感じながらも、何とか首を斬り落とす事に、成功した。
「はぁ… はぁ… 勝った…」
首の落ちたゴブリンは、そのまま光の粒子になり、その後には、小さな石が落ちていた。
すぐ石と鞄を拾い、その場を後にする。再びゴブリンに襲われないとは、言いきれないからだ。
森を抜けた所で、腰をおろし、体を休める。
僕は、積極的に自分のLVを上げようとはせず、慎重に生きてる。その為スライムとは何度か遭遇した事があるが、ゴブリンとは初めて遭遇・戦闘した。正直かなり、緊張した。本当に、勝てて良かった…
少し休んだ後は、街に戻ろうかと思ったが、今の僕は、ゴブリンの血で汚れていた。
「街に戻る前に、川で血でも落とすか…」
僕は、重い腰をあげ、近くの川へむかった。
◆
川についたら、宝箱を作製する。中には、短剣とタオル、水袋を入れてある。まぁ、これだけしか入らないんだけどね。
そこから、タオルを取り出し、川で濡らし、顔や腕、皮鎧などを拭いていく。下の服にも血がついているが、替えの服まで用意していなかったので帰ってから洗う事にする。
「ふぅ~、冷たいけど、さっぱりしたな。さて、街へ戻ろうかな。でも、その前に…」
ギルドカードを取り出し、魔力を流す。
名前:ノーリ 種族:人族 年齢:11 性別:男
LV: 3 生命力: E 魔力: S
力: E 器用: D 防御: D 敏捷: D
知力: A 精神: E 運: D 魅力: D
スキル:剣術Lv1 宝箱作製Lv1 アイテム鑑定Lv1
称号:ー
スキルポイント:10
「お、スキルポイントが貯まった。」
スキルポイントとは、基本自分のLVが上がる度に、ランダム(1~5)で貰えるポイントの事で、スキルのLvをあげる為に必要な物だ。スキル毎に、必要なポイント数は違う。今の僕のスキルでは、剣術と宝箱作成をLv2に上げる為に、必要なポイントが10。そして、いつの間にか獲得していたアイテム鑑定が20必要になる。
「普通なら、剣術を上げるんだろうけど…」
僕は、迷わず宝箱作製にポイントをふり、Lvを2に上げた。
作者より(捕捉)
一部誤解を生む表現がありましたので、ご説明させて頂きます。
スキルポイントは、基本は、スキルのレベルを上げる為だけに使用します。
ですので、宝箱作製で宝箱を作製する度、スキルポイント・魔力などの消費などはありません。
誤解を生む表現をしてしまい、すみません。