閑話・エルマーナ 23
私がこの時間に寝ていた事の説明をした後、ラウム様から話があるとの事で、その話を聞く。
何でも、出来る限り私の傍にいてくれるとの事で、傍にいてもいいかどうかの確認をとってきた。
「・・・」
私は、どう返答していいのか迷ってしまった。
ラウム様が、私の傍にいてくれるのは、正直言って、かなり… いや、とても嬉しい。この気持ちを大声で叫びたくなる程に…
だけど、それだとラウム様の時間を奪う事になり、迷惑をかけてしまうのではないかと考えてしまう。
「エル?」
返答しない事に違和感を覚えたのか、ラウム様は、私の顔を覗き込んでくる。
「あ、すみません、ラウム様。」
「別にいいのよ。それで、私が傍にいるのはダメだった?」
「え、いやそんな事はないんですが…」
「ですがなに? エル、ちゃんと言ってくれないと分からないよ。」
ラウム様は、まっすぐ私の目を見てそう言ってくる。
私も、ラウム様の目をまっすぐ見つめ返し、今思った事を正直に話した。
「そっか… エルはそんな事を思ってたのね。だけど、そんな事気にしないでいいのよ。だって、私がしたいからやってるんだから、迷惑なんて思わないよ。」
「ラウム様…」
私は、涙が込み上げてくるのを感じる。
「だから、エル。もう一度言うよ。私をあなたの傍にいさせてくれないかな?」
今度は、間をおかずして、
「はい、お願いします!!」
涙を溢しながら、そう返事をした。
◆
泣きながら答えてくれたエルを抱きしめ、泣き止むまで暫く抱きしめたままでいた。
そうしていると、エルが泣き止んだので、チラッと顔をみると、
「あらら…」
泣き疲れたのか、それともまだ寝たりなかったのかは分からないが、エルは寝てしまっていた。
「ふぅ… ここでよかった…」
ベッドで隣り合って話していたので、そのまま寝かせるだけでよかった。私自身、力がないので、別の場所で寝てしまった場合は、少々手荒になるが、直接ベッドに、転移ばすしかなかったからだ。
その後は、エル自ら目を覚ますまで隣で待った。
◆
「んん…」
目を覚ました際、ふと頬に違和感を感じ触れてみる。
「濡れてる…」
そこで初めて自分が泣いていた事に気づいた。
今現在進行形で、少しずつ薄れてきているが、原因は分かっている。今見た夢のせいだろう。
私は、濡れた頬を拭い、隣に寝ているエルを見る。
あれから幾日過ぎ去ったのか、エルはいまだに目覚めない。
エルにかけられた呪詛の治療薬であるエリクサーを見つけられていないからだ。