表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

297/389

閑話・エルマーナ 23

 私がこの時間に寝ていた事の説明をした後、ラウム様から話があるとの事で、その話を聞く。

 何でも、出来る限り私の傍にいてくれるとの事で、傍にいてもいいかどうかの確認をとってきた。


「・・・」


 私は、どう返答していいのか迷ってしまった。

 ラウム様が、私の傍にいてくれるのは、正直言って、かなり… いや、とても嬉しい。この気持ちを大声で叫びたくなる程に…

 だけど、それだとラウム様の時間を奪う事になり、迷惑をかけてしまうのではないかと考えてしまう。


「エル?」


 返答しない事に違和感を覚えたのか、ラウム様は、私の顔を覗き込んでくる。


「あ、すみません、ラウム様。」


「別にいいのよ。それで、私が傍にいるのはダメだった?」


「え、いやそんな事はないんですが…」


「ですがなに? エル、ちゃんと言ってくれないと分からないよ。」


 ラウム様は、まっすぐ私の目を見てそう言ってくる。

 私も、ラウム様の目をまっすぐ見つめ返し、今思った事を正直に話した。


「そっか… エルはそんな事を思ってたのね。だけど、そんな事気にしないでいいのよ。だって、私がしたいからやってるんだから、迷惑なんて思わないよ。」


「ラウム様…」


 私は、涙が込み上げてくるのを感じる。


「だから、エル。もう一度言うよ。私をあなたの傍にいさせてくれないかな?」


 今度は、間をおかずして、


「はい、お願いします!!」


 涙を溢しながら、そう返事をした。



 ◆



 泣きながら答えてくれたエルを抱きしめ、泣き止むまで暫く抱きしめたままでいた。

 そうしていると、エルが泣き止んだので、チラッと顔をみると、


「あらら…」


 泣き疲れたのか、それともまだ寝たりなかったのかは分からないが、エルは寝てしまっていた。


「ふぅ… ここでよかった…」


 ベッドで隣り合って話していたので、そのまま寝かせるだけでよかった。私自身、力がないので、別の場所で寝てしまった場合は、少々手荒になるが、直接ベッドに、転移()ばすしかなかったからだ。

 その後は、エル自ら目を覚ますまで隣で待った。



 ◆



「んん…」


 目を覚ました際、ふと頬に違和感を感じ触れてみる。


「濡れてる…」


 そこで初めて自分が泣いていた事に気づいた。

 今現在進行形で、少しずつ薄れてきているが、原因は分かっている。今見た夢のせいだろう。

 私は、濡れた頬を拭い、隣に寝ているエルを見る。

 あれから幾日過ぎ去ったのか、エルはいまだに目覚めない。

 エルにかけられた呪詛の治療薬であるエリクサーを見つけられていないからだ。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ