閑話・エルマーナ 22
お母様に報告を済ませた後、1度部屋に戻ってから、エルとの繋がりを感じとり、その場へと転移した。
いつもの転移なら、どこか外に転移するので、部屋の中に転移した時点で、無事成功したといえる。
私はすぐエルの姿を探すと、近くのベッドで寝ていた。
「エルったらまだ寝て…」
いるのかと思ったが、エルにかけられている呪詛の内容を思い出しながら、昨夜のお母様の言葉が頭をよぎる。
私はすぐに寝ているエルのもとへと駆け寄り、
「エル!! エル!!」
エルの名前を呼び、必死に起こそうとする。
「んん…」
私の呼ぶ声に反応し、エルはすぐに目を覚ました。
「あれ? ラウム様?」
「えぇ、そうよ…」
ちゃんと起きてくれた事に、内心ホッとしながら答える。
「でも、どうしてラウム様がここに? ここ私の部屋ですよね…」
私がいる事を不思議に思ったのか、ここが自分の部屋なのかどうかキョロキョロしながら確認している。
「ここは、ちゃんとあなたの部屋よ。私は転移してここに来ただけよ。契約した時に、呼ばれなくても来るって、言ったでしょ。」
「そう言えば、そうでしたね…」
「そうよ。それにしても、こんな時間まで寝てるって事は、エルはもしかしてお寝坊さんなの?」
「え?」
エルは、一瞬なんの事か分からないかのように、首を傾げるが、今の自分の状態を確認した後、
「違います違います!! これは、その…」
慌ててそれを否定し、少し恥ずかしげに、何故寝ていたのかの説明をしてくれる。
「なんだ、そうだったのね…」
話終えたエルの顔は、耳まで赤くなっていた。
呪詛のせいではなかった事と今のエルを態度を見て、自然と笑みが溢れてしまった。
私が突然笑った事に対し、
「そこまで、笑わなくてもいいじゃないですか、ラウム様…」
両頬を膨らませながら、今私怒ってますというエルの行動に、またしても笑いそうになるのを我慢し、謝る事で許して貰った。
◆
ラウム様に、私が今寝ていた事の説明をすると、笑われてしまった。
別に馬鹿にされているといったような笑いではないのだが、それにしても笑いすぎだと思い怒ると、すぐに謝ってくれた。
その後、ラウム様が少し話があると言うので、シャキッと目を覚ます為、再び顔を洗い、ラウム様の話を聞く。
何でも、今までこっちに来る時は、大抵内緒で来ていたようなのだが、今度からはちゃんとやる事さえ済ませば、こっちに来てもいいという約束を取り付けたと教えてくれる。
それで、出来る限り私の傍にいてくれるとの事で、傍にいてもいいかどうかの確認をとってきた。