閑話・エルマーナ 19 ラウム視点
お母様から発言の許可がおりたのだが、
「ぐぬぬ…」
言うか言うまいか葛藤しているのか、祝いの言葉はなかった。
「はぁ… まぁいいわ。それで、ラウムと契約した人はどんな人なの?」
「名前は、エルマーナって言って、ハイエルフの女の子なの。」
「へぇ、ハイエルフとは珍しいですね。それに、女の子ですか。」
未だお母様の隣で、ぐぬぬ言っていたお父様がそれを聞き、
「なに、女の子!!」
急に大きな声をだし、お母様に睨まれてしまう。
睨まれた事で、すぐ黙る。だけど何故か分からないけど、顔に喜色を浮かべていた。
お母様もその事に気づいたようだけど、とりあえず無視して話を続ける。
「それで、そのエルマーナちゃんって子は、どんな子だったの?」
「それがね…」
少しの間、エルがどんな子なのか、どんな話をしたのかをお母様に話す。
そしてそのついでに、エルが呪詛に侵されている事も話した。
「そう、呪詛に… 初めに相談したい事があるって言ってたけど、もしかしてその事?」
「うん、そう。お母様は何か知らない?」
「そうね…」
お母様から聞かされる内容は、エルから聞いた話と変わらなかった。
「そっか… ねぇ、お父様は、何か知らない?」
エルの力になると決めたので、一応お父様にも聞いておく。
「うーん… 私も、今言った以上の事は知らないな…」
「あ、そう…」
期待した私がバカだったと思い、お母様に今後私がどうしていくかや何かあった時は、力を貸して貰えないかなどの話をした。
「ラウムが言いたい事は分かったわ。当然、力は貸すから、いつでも頼って頂戴。あなたも、当然力を貸してくれるわよね?」
「あ… あぁ、当然貸させて貰うよ。」
「ありがとう、お母様。あ、後ついでに、お父様も。」
「え、私ついでなのか…」
お父様が何か言ったようだけど、無視して、
「それでね、お母様。エルの呪詛が回復するまで… 「ラウム。」」
あるお願いをしようとした所で、お母様に呼ばれる。
「皆まで言わなくてもいいわ。その子の呪詛が回復するまで、なるべくその子の傍についてあげなさい。」
「お母様!!」
「だけど、それについてはある条件があるわ。」
「条件?」
「まず1つ目に、その子の傍に行く時は、最低限の勉強を終わらせた後に行くこと。2つ目は、その件が片付いたら、遅れた分の勉強をしっかりすること。そして最後に、酷な事を言うようだけど、もしもの事があるかもしれないという事を覚悟しなさい。」
最後の条件を言う時のお母様は、いつもの笑顔ではなく、とても真剣な顔をしていた。