閑話・エルマーナ 17
笑いが止まるの見計らって、私たちの事を優しく見ていたナニー先生が、
「えっちゃん。さっきは言い忘れてたけど、魔力を込める量をもう少し調整した方がいいわね。」
と話しかけてきた。
「魔力の込める量ですか?」
「えぇ、そうよ。えっちゃんは、魔力を使いすぎるとどうなるかは勉強したわよね?」
そう聞き返され、勉強した内容を思い返し答える。
「はい。魔力を使いすぎると、気分が悪くなり、その状態で更に使うと、強制的に意識を失った筈です。」
「その通りよ。それで、召喚魔法は召喚する相手によって消費する魔力量が変わってくるの。ラウム様は、上位精霊だから、当然消費量も多くなる筈なの。だから、魔力を込めすぎて、そうなってしまうのを気をつけて欲しかったから、一応言っておこうと思ってね。」
「そうなんですね。分かりました、気を付けます。」
「えぇ、そうした方がいいわね。まぁでも、今のを見てた感じだとえっちゃんは、かなり魔力量が多いと思うから大丈夫だとは思うけどね。」
「え、そうなんですか?」
自分ではどうなのか分からないので、そう聞き返す。
「えぇ、そうよ。そうでもないと、普通はこんなにも上位精霊を召喚し続けれる事は出来ないしね。それに、2回目の魔力を与えて、えっちゃんは気分が悪くなった感じはある?」
そう聞かれ、改めて自身の体を確認してみるが、呪詛で体が少し重い以外はどうもないので、
「いえ、特に変わりはないですね。」
そう答える。
「ならやっぱり、えっちゃんの魔力量が多いって事ね。」
「そうなんですね。」
自分でも知らなかった、長所を知れて何だか嬉しくなった。
その後は、ナニー先生にも言われた通り、魔力を使い過ぎないように、次にラウム様が光だした時は、慌てずに、精霊界に帰るのを見送った。
◆
無事にエルとの契約を終わらせ、少し慌ててしまう事もあったが、すぐに解決し、私の帰る時間が来るまで、エルとおしゃべりしながら過ごした。
そして、私の体が再び、淡く光出した。
「そろそろ時間みたいね。」
「そうみたいですね…」
「もう、いつでも会う事が出来るんだから、そんな顔しなくてもいいでしょ、エル。」
少し寂しそうな顔をしているエルにそう伝える。
「そうですよね。いつでも会えますもんね。」
「えぇ、そうよ。だから、笑顔で見送ってくれると嬉しいわ。」
「はい、分かりました!!」
「うん、その笑顔よ。それじゃあ、またね、エル。」
「はい!!」
笑顔のエルに見送られ、私は精霊界の自分の部屋へと戻っていた。