閑話・エルマーナ 16
ラウム様のその発言に、
「え、そうなんですか!!」
私は驚きを隠せなかった。
「えぇ、そのつもりよ。駄目だったかな?」
「そんな事ありません!! 私は、いつでも大歓迎です!!」
「ふふ。エルならそう言ってくれると思ったわ。まぁでも、呼ばれなくても来ると言っても、私も勉強とか色々やる事もあるから、そこまで構えなくても大丈夫よ。」
「あ、そうなんですね。分かりました。」
そう返事をした所で、ラウム様の体が突然淡く光だした。
「え、何これ?」
ラウム様も何が起こったのか分からないようで、
「大丈夫ですか、ラウム様!!」
私たちは少し慌てだし、あわあわする。
「えっちゃん、ラウム様。そんなに慌てなくても大丈夫よ。召喚魔力がそろそろきれるだけだから。さっき、えっちゃんたちが簡易の陣を刻んだペンダントに魔方陣の時みたいに魔力を流せば、召喚時間の延長が出来るわよ。」
ナニー先生が、そう教えてくれる。
「わ… 分かりました。」
私はすぐに、首にかけていたペンダントを両手でギュッと握りしめ魔力を流すと、
「お!! エルから魔力が流れてくるのを感じるわね。」
そう言っているラウム様が纏っていた淡い光が徐々に落ち着いてきた。
「良かった…」
完全に光が消えると、握っていたペンダントから手を離し、
「教えてくれて、ありがとうございました、ナニー先生。」
お礼を伝える。
「気にしなくていいわ。でも、えっちゃん。あぁいった時こそ慌てちゃ駄目よ。召喚者であるえっちゃんが、しっかりしないと、契約をしてくれた精霊も何をしていいか分からなくなるからね。」
「はい… すみません、ナニー先生。ラウム様も、すみませんでした…」
「気にしないで、エル。私も、驚いていたしね。それで、帰る時ってあぁやって突然光りだすのね…」
「そうみたいですね。勉強不足でした… 私、次はもう驚かないようにします!!」
「そうね。私も気を付けるわ。それにしても…」
そう言った瞬間、ラウム様が笑いだした。
「どうしたんですか、ラウム様?」
「あぁ、ごめんね。ちょっとさっきの事を思い出して、私たち慌てすぎだと思ったら、ちょっとね…」
そう言うと、再びラウム様は笑い出した。
それを見てると、私まで何だか可笑しくなり、ラウム様と顔を見合わせ、私も声を出して笑った。
笑いが止まるの見計らって、私たちの事を優しく見ていたナニー先生が、
「えっちゃん。さっきは言い忘れてたけど、魔力を込める量をもう少し調整した方がいいわね。」
と話しかけてきた。