24話・魔法石
弁当を食べ終え、確認も終わった為、僕は6階層へ続く階段を降りていった。
6階層も、ギルドで見た通り、上と同じ洞窟だった。
だけど、この階層から更に新しいモンスターが現れ出す為慎重に、探索を開始する。
探索開始して早々、こん棒を持っているホブゴブリンに遭遇した。ホブゴブリンは、普通のゴブリンよりふたまわり体が大きいが、4階層から増えていたモンスターなんで、倒しなれている。
ホブゴブリンは持っているこん棒を、振り下ろしてくる。これまでの経験で、そのままバックラーで受け止めると、手が痺れ、少しの間使えなくなるので、バックラーを少し斜めに構え、受け止めるのではなく、受け流す。森にいた頃に比べると、かなりの成長だ。そして、体勢の崩れたホブゴブリンの首にむかって、二重付与の剣を真横に振って、首を一刀両断する。ホブゴブリンは、そのまま消え、魔石とこん棒を残した。それを拾い、アイテムボックスに入れてから、先に進む。
その後も、スライム系モンスターやらゴブリン系モンスターを倒しながら、進んでいく。だけど、なかなか新しいモンスターには、出会わない。今までの階層の広さから推測して、3割程のマッピングを終わらせた。
今日はこの辺で戻るとする。
◆
戻っている途中に、新しいモンスターが現れた。
大きさは、普通のゴブリンほどで、手には剣やこん棒ではなく、杖を持っている。何となく、顔も利発そうにみえる。そのゴブリン… 確か名前は、ゴブリンマジシャンだった筈だ。
ゴブリンマジシャンは、僕と目が合うと、
「******* フ゛ァイア゛ボール゛」
何かを呟いたかと思うと、握りこぶし大の火の玉が飛んでくる。あれが魔法の詠唱だろう。僕とゴブリンマジシャンとの距離もあいていたので、何とか躱せた。後ろでは、火の玉と壁がぶつかる音がする。その音を聞きながら、詠唱する前にゴブリンマジシャンを倒す為、僕から接近していく。
ゴブリンマジシャンは、持っていた杖を振りまわすが、それをバックラーで受け止める。力は、そこまで強くない。そのまま人間でいう心臓部に、剣を突き刺す。
ゴブリンマジシャンは、絶命し、消えてなくなる。
消えた後には、魔石とその魔石と同じ大きさほどの赤い石が落ちていた。杖はドロップしなかった。まぁ、どうせ使わないからいいか。それよりも、赤い石を拾いアイテム鑑定を行う。
火の魔法石(小) ・・・ 特定ワードを言うだけで、火属性の初級魔法を1度使うことが出来る。特定ワード[命令:ファイアボール]
「これが、魔法石か… 初めて見たな。」
魔法が使えない人でも、魔法を使うことの出来るアイテムだ。魔石と共に、アイテムボックスに入れてから、5階層へ続く階段へ戻り、転移版で地上に戻る。
換金を済ませてから、家へと戻った。