閑話・エルマーナ 12 ラウム視点
秘密にしないといけないという訳ではないので、契約の事を教えてもいいのだが、何だかお父様に言ったら負けのような気がしてきたので、勢いで乗りきる事にした。
「やっぱり、隠しているんじゃったか。それで、いったい何を隠しているじゃ?」
そう聞かれるが、答える気のない私は、
「別に、お父様に言う必要はないでしょ!!」
と答える。
「それはそうじゃが、ラウムが私に隠し事していて、あまりいい記憶がないから、聞いておきたいんじゃが…」
「そんな事ないでしょ!!」
「いや、確かにいい記憶もあるにはあるが、殆どがいたずらに関してじゃったと思うぞ?」
「うっ…」
確かに、言われてみればその通りなのだが、
「それは、私が子供の頃の話でしょ!!」
「そうじゃが、私にとってはいつまでたっても子供じゃしな…」
「そう、そこまで言うなら、私は子供らしく、お母様に言いつけるわね。」
お母様に頭の上がらないお父様にそう言ってみると、
「それだけは止めてくれ!!」
「なら早く部屋を出ていって。」
私は、部屋の外へを指差しながら、出るよう促す。
「はぁ… 分かった。」
お父様が、そのまま部屋を出ていこうとしたところで、私の足元に光る魔方陣が現れた。
私はすぐに、エルが呼んでくれたんだと分かり、召喚されるのを待つだけかと思っていたら、
「その光は!!」
魔方陣を見たお父様が突然叫び、
「ふん!!」
魔方陣に手を置いてきた。
すると、魔方陣の光が少し弱まる。
「ちょ、何やってんのお父様!!」
光が弱まったのが、完全にお父様のせいだと思った私は、怒鳴り付ける。
「お主の召喚を止めようとしているだ。」
「なんで、そんな事するのよ!!」
「お主にはまだ早いからだ。」
「勝手にそんなの決めないでよ!!」
私は、すぐに邪魔をしてくるお父様をどこかへ跳ばそうとするが、私より強い力を持っている為か、跳ばす事が出来なかった。
「もう、邪魔しないでよ!!」
跳ばす事が出来ないので、ポカポカ叩くが、頑丈な体を持つお父様にはそれすら効果なかった。
何かお父様を止める手はないかと考えていると、
「あなた、仕事もせずになにしてるの…」
そうお父様の後ろから声がする。
「お母様!!」
「あ、いやこれはその…」
私はチャンスだと思い、
「助けてお母様!! お父様が、私の召喚を邪魔するの!!」
今起こっている事を手早く説明し、助けを求める。
すると、それに対しお父様が言い訳をする前に、
「うっ…」
お母様の腕がお父様の首へと伸び、一瞬のうちにお父様の意識を落としてしまった。