閑話・エルマーナ 8
思いもしなかったラウム様からの提案に聞き返してしまった。
「えぇ、そうよ。どう? 駄目かな?」
「あ、いえその駄目と言う訳じゃないです。むしろ嬉しいです!!」
「なら、契約しましょうか。」
「あ、でも私なんかが、ラウム様と契約なんてしていいんでしょうか?」
「何言ってのよ。友達なんだし構わないわよ。それに、契約する本人が言ってるんだから、問題ないでしょ?」
「それはそうなんですが…」
「他に何か問題があるの?」
「あの… その… 私、まだ精霊契約どころか、下位精霊との仮契約もした事がなくて、ちゃんと精霊契約が出来るかどうか心配で…」
「あ、そうなの。でも、皆初めてはあるものよ。それに、私だって契約は初めてなんだし、初めて同士で尚更丁度いいじゃない。」
「え、ラウム様も初めてだったんですか?」
「まぁね。元々契約事態そこまで興味なかったし、父からもそんな事より勉強をしなさいと言われていたしね。」
「そうだったんですね。」
「そうよ。それで、どう? してくれる気になった?」
「…はい!! 宜しくお願いします、ラウム様!!」
「こちらこそ宜しくね、エル。」
「はい。なら私、今から精霊契約がかかれている本をとってきますから、待っていて下さい。」
「それなら、私もついていくわ。」
「そうですか。なら、一緒にいきましょう、ラウム様。」
「えぇ、行きましょう行きましょう。」
私は、ラウム様と一緒に中へと戻っていく。
中へと戻ると、丁度ナニー先生がいたので、精霊契約についての本がどこにあるのか尋ねてみる。
「精霊契約の本? 急にどうしたの?」
「えっと…」
どうやらナニー先生でも、ラウム様の事を見えていないようだし、何て説明しようかと迷っていると、
「私と契約する為よ。」
ナニー先生の前に移動したラウム様が、そう声をかけると、
「うおっ!!」
ナニー先生が、驚愕の声をあげながら尻餅をついた。
その声が聞こえたのか、
「どうかしましたか、ナニー様!!」
アリーさんもやってきて、ナニー先生の前に浮いているラウム様に驚いていた。
その後は、皆で部屋に集まり、何故こんな状況になっているのか説明を行った。
「なるほどね、話は分かったわ… とりあえず、整理する時間が欲しいから、ちょっと待って頂戴。」
「あ、はい。私は大丈夫です。ラウム様も大丈夫ですか?」
「私も、構わないわ。それより、これのおかわり貰ってもいい?」
「はい、すぐご用意します。」
ラウム様は、出されていたクッキーが気に入ったのか、おかわりを要求し、アリーさんがすぐに準備をしにいった。