閑話・エルマーナ 7
ラウム様は、まだ背をむけたまま、私が何故ここにいるのか聞いてくる。
「それは…」
ラウム様も、隠す事なく話してくれたので、私も隠す事なく自分の身の上話をラウム様に話した。
「なるほど。エルは、呪詛… つまり呪いをかけられ、そのかけられた者から身を隠す為にここで暮らしていると?」
「はい、そうなります…」
「見た感じそんな風には見えないけど、今の状態はどうなの? 大丈夫なの?」
「はい。今は、お姉様がくださった呪詛耐性の装飾品を身に付けていますから、以前よりかは幾分かましになってます。」
「そう。それで、治る目処はたっているの?」
「それは…」
「ないみたいね。」
「はい… お姉様たちが色々手を尽くして下さっているんですが、私にかけられている呪詛を解呪するには、かなり希少な薬が必要みたいで…」
「確か秘薬だったわよね。」
「はい、そうです。ラウム様は何かご存知ないですか?」
「うーん… ごめんなさい、エル。こっちには何度も来てるんだけど、秘薬についての話は聞いた事ないわね。」
「ラウム様が、謝る必要はないです!! だから、頭を上げて下さい!!」
私はすぐにラウム様に頭を上げるように頼む。
「分かったわ。でも、その代わりって訳じゃないけど、私にもエルの力にならせてくれない?」
「私の力にですか?」
「えぇ、そうよ。と言っても、もの探しが得意って訳じゃないから、話を聞いて回るくらいしか出来ないから、そこの所は許してね。」
「許すもなにも、力を貸してくれるだけで有り難いです、ラウム様。でも、どうしてそこ…」
ラウム様の手が私の口を塞ぐ。
「そんなの、友達だからに決まっているでしょ。」
「らゃうむちゃま…」
ラウム様の温かい言葉で、自然と涙が溢れる。
「ちょっと、エル。泣く事ないでしょ!!」
ラウム様は少し慌てながらも、泣いている私の背中を泣き止むまで、さすってくれる。
「エル、少しは落ち着いた?」
「はい。すみませんでした、ラウム様。」
「いいのよ、このくらい。それで、話を聞いて回るにあたって、エルにお願いがあるだけどいいかな?」
「お願いですか? 私に何かが出来るかは分かりませんが、任せて下さい。全力でラウム様のお願いを叶えたいと思います。」
「そ… そう。でも、そこまで難しいお願いじゃないわよ。」
「そうなんですか?」
「そうよ。私からのお願いは、私と精霊契約して頂戴って事よ。」
「ラウム様との精霊契約ですか?」
思いもしなかったラウム様からの提案に聞き返してしまった。