表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

280/389

閑話・エルマーナ 6

 話を聞きいて、ラウム様が誰かに召喚されたのではと疑ったが、自力でやって来たと私の疑問に対し、包み隠すことなくそう教えてくれた。


「ラウム様は、空間を司る精霊だったんですね…」


 話しには聞いた事あるが、ラウム様が言った通り、空間を司る精霊は、火や水と違って、とても珍しい精霊の筈だと記憶している。


「そう。だから、こうやって…」


 目の前にいたラウム様が忽然と姿を消したかと思ったら、かなり離れた場所に現る。そして、再び消えたかと思ったら目の前に現れた。


「空間転移を使って、たまにだけど息抜きをしにこっちにやって来てるのよ。」


「そうだったんですね。やっぱりラウム様は凄い精霊なんですね。」


「ふふ、まぁね。」


「でも、こっちに来て怒られたりはしないんですか?」


「うっ… せっかく新しい友達も出来ていい気分だったのに、嫌な事を思い出させないでよ、エル…」


「あ、すみません…」


 どうやら、やっぱり怒られるみたいだった。

 それにしても、新しい友達か…


「なにニヤニヤしてるのよエル?」


「!?」


 どうやら、自分でも気づかぬうちに頬が緩んでしまっていたようで、ラウム様よりそれを指摘される。


「あ、すみません…」


「別に謝ることじゃないわよ。それで、何か面白い事でも思い出していたの?」


「いえ、そう言う訳じゃないですけど…」


「ならどうしたの?」


 それを正直に答えるのが、少し恥ずかしくなりながらも小声で答える。


「…様と…のが…ったからです…」


「全然聞こえないわよ、エル。ほら、もう少し大きな声で言いなさいよ。」


 ラウム様は、耳を私の方にむけながらそう聞き返してくる。

 私は、もう一度答えるが、


「ん? 私の事? 私がどうかしたの?」


 また聞き取れなかったようで、今度は直接ラウム様の耳元で答える。


「ラウム様と友達になれたのが嬉しかったからです。」


 と答える。


「ふ、ふーん… そうなんだ。」


 ラウム様は、クルっと回り私に背をむける。

 チラッと見えるラウム様の耳が赤くなっていた。

 たぶん、私もラウム様同様に赤くなっていると思うから、それについては何も言わずに、見て見ぬふりをしていると、


「う… 嬉しいのは私も一緒だからね、エル。」


 背をむけながら、そう言ってくれる。


「はい!!」


 心の奥に広がる温かい気持ちが心地よかった。


「そ… それで、エルはどうしてここにいるの? 確か前来た時は、あんな家なんかもなかったと思うけど、ここで暮らしているの?」


 ラウム様は、まだ背をむけたままそう聞いてくる。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ