閑話・エルマーナ 6
話を聞きいて、ラウム様が誰かに召喚されたのではと疑ったが、自力でやって来たと私の疑問に対し、包み隠すことなくそう教えてくれた。
「ラウム様は、空間を司る精霊だったんですね…」
話しには聞いた事あるが、ラウム様が言った通り、空間を司る精霊は、火や水と違って、とても珍しい精霊の筈だと記憶している。
「そう。だから、こうやって…」
目の前にいたラウム様が忽然と姿を消したかと思ったら、かなり離れた場所に現る。そして、再び消えたかと思ったら目の前に現れた。
「空間転移を使って、たまにだけど息抜きをしにこっちにやって来てるのよ。」
「そうだったんですね。やっぱりラウム様は凄い精霊なんですね。」
「ふふ、まぁね。」
「でも、こっちに来て怒られたりはしないんですか?」
「うっ… せっかく新しい友達も出来ていい気分だったのに、嫌な事を思い出させないでよ、エル…」
「あ、すみません…」
どうやら、やっぱり怒られるみたいだった。
それにしても、新しい友達か…
「なにニヤニヤしてるのよエル?」
「!?」
どうやら、自分でも気づかぬうちに頬が緩んでしまっていたようで、ラウム様よりそれを指摘される。
「あ、すみません…」
「別に謝ることじゃないわよ。それで、何か面白い事でも思い出していたの?」
「いえ、そう言う訳じゃないですけど…」
「ならどうしたの?」
それを正直に答えるのが、少し恥ずかしくなりながらも小声で答える。
「…様と…のが…ったからです…」
「全然聞こえないわよ、エル。ほら、もう少し大きな声で言いなさいよ。」
ラウム様は、耳を私の方にむけながらそう聞き返してくる。
私は、もう一度答えるが、
「ん? 私の事? 私がどうかしたの?」
また聞き取れなかったようで、今度は直接ラウム様の耳元で答える。
「ラウム様と友達になれたのが嬉しかったからです。」
と答える。
「ふ、ふーん… そうなんだ。」
ラウム様は、クルっと回り私に背をむける。
チラッと見えるラウム様の耳が赤くなっていた。
たぶん、私もラウム様同様に赤くなっていると思うから、それについては何も言わずに、見て見ぬふりをしていると、
「う… 嬉しいのは私も一緒だからね、エル。」
背をむけながら、そう言ってくれる。
「はい!!」
心の奥に広がる温かい気持ちが心地よかった。
「そ… それで、エルはどうしてここにいるの? 確か前来た時は、あんな家なんかもなかったと思うけど、ここで暮らしているの?」
ラウム様は、まだ背をむけたままそう聞いてくる。