閑話・エルマーナ 1
最近、少し体が重たく感じていた。
だけど、少し重く感じるだけで、頭が痛かったり、咳が出たりと重たい以外の症状などはなかった。
だから、そのうち自然に良くなるだろうと思っていたけど、一向に良くなる事はなかった。
その状態が暫く続いたある日、何度かお世話になった事のあるお医者様に再度状態を見て貰う事になった。
まず状態を見て貰い、その後に何かしらの魔法を使って下さったが、状態が変わる事はなかった。
そして、次の日には、ナニー先生が用意したポーションを飲んだけど、それすら効果がないようで、悲しそうな顔をする両親やナニー先生たちの顔を見るのが、少し辛かった。
その更に数日後、今の私の状態についての話を聞かされた。話を聞き終わって外が騒がしいのでナニー先生が様子話見に行くと、お姉様が帰ったきたようで、私は、久しぶりにお姉様と会った。
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お姉様が帰ってきて数日後、もしもの事を危惧し私は、お姉様たちと一緒に、お姉様たちが作った機密基地とやらに移り住む事になった。
皆真剣に私の事を心配してくれているのは分かっているのだが、初めて国の外に出るので、不謹慎ながら少し楽しみでもあった。
移動中は、お姉様に背負われ少し恥ずかしかったけど、久しぶりのお姉様の背中は、前と同じく温かかった。
その後は、何事もなく避難場所にたどり着いた。
避難場所について早々、初めてドリアード様とお会いしたりと初めから驚かされた。
その後は、一緒にご飯を作ったり、出きる範囲で家を広くする為のお手伝をしたりと様々な事をしてきたが、それに比例しているとまではいかないが、寝ている時間も増えていった。
そしてお姉様が、ここを立つ日がやってきた。理由は、私にかけられている呪詛を治す為のお薬である秘薬を探す為だ。
私は、涙を我慢してお別れを済ませ、お姉様を見送った。
◆
お姉様が旅立って、数ヵ月がたったある日、今度は、お姉様の親友で、ナニー先生の娘さんでもあるリーベ様が来てくれていた。
「お久しぶりです、リーベ様。」
「久しぶりね、エルちゃん。グラディウスから話は聞いたけど、体調の方はどうかしら?」
「体が重い事や寝ている時間が増えている以外は、変わりないですかね。」
ここで嘘をついても、ナニー先生たちから話がいくと思い正直に話す。
「そっか…」
リーベ様は、心配そうな顔をした後、ある装飾品を取り出して手渡してくる。
「これは、何でしょうか?」
「それは、グラディウスから預かった物よ。どうやら、呪詛耐性の効果のある装飾品みたい。今日私が来たのは、エルちゃんの様子を見に来た事とそれを渡すように頼まれたからよ。」
「これをお姉様から…」
私は、手渡された装飾品を見つめ軽く握りしめた。