240話・魔法道具
アリーさんは、わざわざ自分が休む前に、用事がないか僕に聞きに来てくれた。
僕は、用がない事を伝えると、何かあったら鳴らして下さいとベルを手渡してきた。
「はい、分かりました。」
ベルを受け取り、それを確認してみる。
確か、ハンドベルと呼ばれる物で、楽器か何かに使われていたと思う。
その見た目は、以前見た事のある(と言っても本や教会で使用されていたのを何度か遠目で見たくらい)ハンドベルみたいだけど、以前見た物とは少し違っていた。
このハンドベルは、鐘の部分に打ち付ける中の振り子のようなもの(クラッパー)がなかっただ。
軽くふってみたけど、思った通り音がならなかった。
このハンドベルが何に使うのか分からなかったので、アイテム鑑定を使い調べても良かったけど、これを渡してくれた本人に直接聞いてみる事にした。
「すみません、アリーさん。これは何なんですか?」
「それは、コールベルと呼ばれる魔法道具です。」
「魔法道具ですか?」
「はい、そうです。そのコールベルに魔力を流しながら降って頂くと、私の部屋に置いてあるコールベルと対になる魔法道具が鳴りますので、それを確認しましたら私が部屋に訪ねさせて貰い、用件を伺います。」
「そうなんですね、分かりました。何かあったら使わせて貰います。」
たぶん、遠慮してしまい使わないと思うけどそう言っておく。
「はい。その際は、ご遠慮なく使用して下さい。」
心を読まれたかもと一瞬ドキッとしてしまう。
「心を読んでいる訳ではありませんので、安心して下さい。」
ニコリと笑いながら、アリーさんはそう言ってくる。
僕は、いやいやいやいや、完全に読んでますってと心の中で思いながら、
「な… なら、どうして僕が思っている事が分かるんです?」
と尋ねる。
「どうやらノーリ様は、思った事が顔に出やすいみたいですね。私はそれを拝見し、推測したまでに過ぎません。これでも長く生きておりますから、観察眼はかなり磨かれているんです。」
「そうなんですね。教えてくれてありがとうございます。今後は気を付けようと思います。」
「いえ、私も出過ぎた真似をしてしまいすみません。」
「僕が聞いた事なので気にしないで下さい。」
「そう言って頂けると助かります。それでは、お休みのところすみませんでした。おやすみなさいませ、ノーリ様。」
「はい。おやすみなさい、アリーさん。」
アリーさんは、深々と頭を下げた後、戻っていった。
作者より(変更と捕捉)
魔道具
魔力を流し使用する道具の総称
↓ (変更)
色魔石と道具を組み合わせて使う事の出来る道具の総称
魔法道具
魔力を流し使用する道具の総称
簡単に言えば、色魔石の内蔵魔力を使うのが、魔道具。
使用者の魔力を使うのが、魔法道具。




