237話・寝る前
部屋を出たグラディウスさんは、気配察知の反応から、どうやらエルマーナ様の部屋に入っていったみたいだ。
エルマーナ様に、エリクサーを使用する為に出来れば2人きりになりたいので、少し都合が悪い。
だけど、ナニーさんの部屋に泊まると言っていたので、流石に夜ずっとエルマーナ様の部屋にいる訳じゃないかなと判断し、昼間に森で寝ていた事もあり目も冴えているので、グラディウスさんが部屋を出て、皆が寝静まるのを待つ事にした。
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私は、ノーリ君の持つアイテムの危険性や元サブマスが逃げようとした際に飛び出した行為についてなど、この際だから色々言っておいた。
まぁ、元サブマスの件については、元を正せば、私の監督不行き届きのせいだとも言えるし、アイテムを使い逃げる事を考慮していなかった私の判断ミスだ。
だから、本来ならその事について注意するのは筋違いのような気もするけど、ノーリ君の事を部下に調べさせた結果、どうやらここ最近で急激に力をつけているようで驕り高ぶる様子はないけど、ただノーリ君自身を叱る相手が殆どいないようなので、私の件については、一時目をつぶらせてもらう。
あらかた言い終えた後は、しっかりと休むように伝えてから部屋を後にした。
その後は、ナニーさんの部屋にむかわずに、もう一度エルマーナの様子を見に行く事にした。
部屋へと入り、灯りを取り出してから、ベッド横の椅子に腰掛け話しかける。
「ねぇ、エルマーナ。ノーリ君はどうだった?」
「・・・」
「本当に彼って不思議な子なんだよ。何でか期待しちゃうんだよね。もしかしたら、エルマーナの事を助けてくれるんじゃないかってね…」
「・・・」
「まぁ、そんな都合のいい事が起こる訳ないってわかってるんだけどね… エルマーナ。次くる時は必ず貴方を助けてみせるからもう少しだけ待っててちょうだい。」
「・・・」
「必ず… 必ず助けてみせるから…」
私はエルマーナの手をギュッと握りながら、もう何度やってきたかもわからない誓いを立てる。
その後は、少しの間そのまま何もせずエルマーナの事を見て過ごす。
「それじゃあ、そろそろ私も部屋に戻るわね。また、明日出発する前に見に来るわね。おやすみ、エルマーナ。」
「・・・」
寝る前の挨拶を済ませてから、部屋を後にする。
部屋を出た後は、そのままナニーさんの部屋にお邪魔する。
ナニーさんには、事前にこっちの部屋で一緒に休ませて貰う事は伝えてあるので、そのまま中へと招き入れて貰い、どらいやーの感想や私がいない間に起こったことなどを聞きながら、夜が更けていった。