234話・泊まる部屋
グラディウスさんは事情を知っているからと話してくれた。
「そうだったんですね。」
思った通り、エルマーナ様がこの部屋で眠っているようだった。事前に、部屋の場所を知れたのはよかった。これで、下手に部屋を探し回ったりしなくてすむからだ。
「そうだ。エルマーナに、ノーリ君の事を紹介したいから先に寄ってもいいかな?」
「はい、大丈夫です。」
僕としても有難い提案なので了承すると、僕たちは部屋の中へと入っていく。
部屋の中は薄暗く、置いてある物も大きめのベッドとその傍に置いてある椅子しかなかった。
中へと入ると、グラディウスさんの後に続きそのままベッド傍まで近づく。
グラディウスさんが灯りを取り出すと、ベッドで寝ているエルマーナ様の顔がはっきりと見る事が出来た。エルマーナ様は、少し幼い顔立ちだけどグラディウスさんと似た顔をしていた。ただ、寝たきりのせいか顔がやつれているように見える。
僕がそう思っている間に、グラディウスさんが僕の事を簡単にエルマーナ様に話していた。
それが終わると、ノーリ君も一言声をかけてほしいとの事で、
「グラディウスさんも仰ったように、僕の名前はノーリと言い冒険者をやっています。エルマーナ様が回復出来るように微力ながらお役に立ちたいと思っています。」
と声をかけるが、当然反応は返ってこなかった。
でもその代わり、
「ありがとう、ノーリ君。頼りにしてるわ。」
グラディウスさんが返事をしてくれた。
その後は、部屋を出て僕が泊まる部屋へと案内してくれる。
案内された部屋は、ベッドや椅子、テーブルなど必要最低限の家具が置かれていた。
でも1つ気になる事があった。
「グラディウスさん。聞きたい事があるのですがいいですか?」
「大丈夫よ。それで、聞きたい事ってなに?」
「この部屋が僕が泊まる部屋なんでしょうか?」
「えぇ、そうよ。」
「そうなんですね。でも、エルマーナ様の隣の部屋ですが、いいんでしょうか?」
「あぁ、その事ね。この部屋は、元々私がここに来た時に泊まっている部屋だったの。」
「え!! ならどうして、僕がここに泊まるんですか?」
「それがね、前はライアもここに泊まっていたから、他の部屋にベッドの用意もしてたんだけど、今はライアもここに泊まる事がなくなったから、ベッドを片付けたの。だから、泊まる部屋がないから今日はノーリ君がここを使ってちょうだい。」
「グラディウスさんはどうするんですか?」
「私は、ナニーさんの部屋に泊まる予定よ。」
「僕が外で… 「ダメよ。ノーリ君はお客さんなんだからちゃんと体を休めてちょうだい。」」
僕が外でテントでも張りますという前に却下されてしまう。
「…分かりました。」
何言っても聞き入れて貰えなさそうなので、僕はしぶしぶ承諾する。