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232話・価値

 一緒に話を聞いていたナニーさんが、これをどこで手にいれたのか尋ねてくる。


「えっと… その、たまたま… そうたまたま手に入れただけです。」


 自分の能力で作製したとは言いにくいので、そう答えた。


「たまたまって、それじゃあ分からないわよノーリ君。」


「うっ… えっと…」


 僕は、すぐに別の言い訳を考え、


「だ… ダンジョンで見つけました!!」


 と答えた。

 購入したと答えたら、どこで購入したかまで聞かれ嘘がばれそうだと判断し、結構何でもあり的な感じのダンジョンで見つけた事にした。


「そうダンジョンなのね。」


 どうやら納得してくれたようなので、僕は嘘がばれる前に、グラディウスさんに、再度それで髪を乾かすよう伝えてから、手を洗いにいった。



 ◆



「ぐーちゃん、いい物貸して貰って良かったわね。」


「・・・」


「ぐーちゃん?」


「あぁ、すみません。そうですね、早速使わせて貰おうと思います。」


「そうね。でもここじゃあれだから、座れる場所に行きましょうか?」


「そうですね。」


 そう返事をし、ナニーさんと一緒へリビングの方へとむかう。私は、むかいながら、手に持つどらいやーとやらを調べてみる。


「やっぱり、間違いないわねよねこれ…」


「ん? ぐーちゃん、何か言った?」


「あ、いえ何もないです。」


「そう? なら良いけど。」


 リビングにつき、邪魔にならない場所に座り髪を乾かしながら、どらいやーの事について考える。

 最初これを手渡された時は、驚きすぎて声すら出なかった。でも、まさかそんな事ないわよねと自分に言い聞かせながら、どらいやーの使い方を聞いた。

 その効果にも驚かされたけど、このどらいやーをちゃんと調べてみて、先程の私の驚きが間違いでなかった事に至った。

 ノーリ君は、ダンジョンで見つけたと言っていたけど、あの動揺ぶりは少しおかしいし、私の勘もあれは嘘だといっている。

 それにこのどらいやーの外側の金属。ここまでオリハルコンを使用しているアイテムなんて見た事がない。これを売れば、数年は遊んで暮らせるだけの富を手にする事も可能だと思うし、ここに来る迄に使わせて貰ったアイテムの非ではない程の価値がある。

 こんな物をポンっと貸してくれるなんて、ノーリ君の優しさは美徳だと思うが、少し心配になってくる。


「はぁ… 1度、2人きりで話した方がいいかも知れないわね…」


 もしかしたら、ノーリ君が隠そうとしている秘密に関わる事かも知れないが、他にもこんな事をしているのなら遅かれ早かれ誰かしらにばれるかもしれないので、やはり一言言っといた方がいいだろう。

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