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229話・謝罪

 自然と視線を扉の方をむけると、ノーリ君の顔が見えたと思った瞬間、物凄い勢いで扉が閉められた。

 一瞬の出来事で気のせいかとも思ったけど、すぐそんな事ないかと思い返し、とりあえずタオルで体を隠して、私の方から扉を開けると少し離れた所でノーリ君が床に座り込んでいた。



 ◆



 脱衣所の扉を開けると、目の前に誰かの裸があった。


 バンッ


 僕は、今まで生きてきた十数年の中で、1番最速で扉を閉めた。

 扉を閉めた後は、とりあえずそのまま数歩後ろ下がりその場に座り込み、僕から声をかけるのでなく、相手の出方を伺う。僕から声をかけると再び驚かせる可能性があると判断したからだ。

 するとすぐに扉が開き、扉の先にいたのが、グラディウスさんだと判明した。


「やっぱりノーリ君だったのね。それで、ノーリ君は、そこで何してるの?」


「謝る準備です。」


「謝る準備?」


「はい、そうです。」


「その謝るのって私によね?」


「当たり前じゃないですか。」


「そうよね。でも、何に対して謝るの?」


「えっ?」


「ん?」


 何だか話が噛み合っていないので、とりあえず起こった事の整理をしてみる。


「先程、僕が脱衣所の扉を開けましたよね。」


「一瞬で閉めたけど、確かに開けてたわね。それで?」


「その際… その… なんと言いますか…」


「ん? …あぁ、もしかしてその時私の裸でも見えたの?」


 僕は声に出さず、こくりと頷く事で答える。


「それでノーリ君は、その事について謝る為にここで座っていたと?」


「はい、そうです。わざとではないとは言え、人がいる可能性を考慮せずに開けた僕が悪いですから。本当にすみません。」


 僕は謝ると同時に頭を下げる。

 これは、以前本で読んだ勇者が伝えたとされる謝り方だ。


「頭をあげて、ノーリ君。」


 言われた通り頭をあげる。


「その謝って貰って悪いんだけど、そもそも私は怒ってないわよ?」


「そうなんですか?」


「えぇ、そうよ。」


「本当なんですか? 普通裸を見られたら嫌がると思うんですが、僕の為にそう言っているとかじゃないですよね?」


「嘘じゃないわ。そりゃあ、裸を見られたのは恥ずかしいとは思うし、進んで人に見せようとは思わないけど、わざとじゃないんでしょ?」


「はい。わざとじゃありません!!」


「なら尚更怒ることじゃないわ。だから、そろそろ立ち上がって頂戴ノーリ君。そうしないと、ずっと座らせている私の方が、何だか悪者みたいに感じるわ。」


 少し困った風に言ってくるので、これ以上困らせるのも悪いと思い立ち上がる。

 だけど怒ってはいないとはいえ、悪い事をしたのに変わりはないので、最後にもう一度謝っておいた。

作者より(捕捉)


グラディウス的には、裸を子供に見られた所でとも思っています。

またノーリは、グラディウスの裸を見て、罪悪感しか抱いておりません。

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― 新着の感想 ―
[良い点] 主人公は紳士やな~! [気になる点] 謝る立場なのはナニーさんだと思います!
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