228話・少し前の出来事 (グラディウス)
ナニーさんと別れてから、私はまたエルマーナのいる部屋に来ていた。
ベッド横の椅子に腰掛け、以前様子を見に来て、ここを出た時から今日までに起こった事を面白可笑しく眠っているエルマーナに話してあげる。こんな事は意味のない事だと分かっていても、ここに来た時の習慣のようなものになっているので、今更止める気も起きず続けている。
「それでね、今日はさっき話した冒険者のノーリ君と一緒にここに来たのよ。まだ若いのに、本当に有望そうなんだから。もしかしたら、エルマーナのいい友達になれると思うのよ…」
そんな話を一通り話し終えたところで、
コンッコンッ
「ナニーだけど、ぐーちゃんいる?」
ナニーさんがやって来た。
「はい、いますよ。」
「なら、ちょっと入るわね。」
そう言って、ナニーさんが入ってくる。
1度、エルマーナに視線をやってから私に戻しに話しかけてくる。
酷いと口にはしたが、ナニーさんが、私の事を心配して言ってくれているの分かっている。
ナニーさんが部屋を出ていくのを見送った後、エルマーナにむきなおり、
「それじゃあ、私はお風呂に行ってくるわね。」
一言残してから、私もお風呂場へとむかった。
お風呂場につくと、すでにお湯は入れ替え終わっていた。
「ちゃんと来たわね、ぐーちゃん。」
「私も一応女ですからね。臭いと言われたら、ちゃんと入りにも来ますよ。」
微笑みながら、さっきの意趣返しをかねてそう言ってみる。
「あら、そんな事言ったかしら? それじゃあ、私は、夕食作りの続きをしてくるから、ゆっくり浸かって疲れを癒しなさいね。」
「はい、分かってます。」
ナニーさんは、惚けた後、もう一度念押ししてから出ていった。
心の中でお礼を言ってから服を脱ぐ。
浴室に入り、体にお湯をかけてから、体を洗い始める。ここに来る迄は、お湯で体を拭くくらいしかしていなかったので、念入りに体を洗ってから、湯船に浸かった。
「あぁ…」
久しぶりのお風呂とあってか、色々な物がお湯に溶けていく感じがしてくる。
お風呂に浸かりながら、今後どうするか考えようと思っていたが、お風呂が気持ち良すぎて、1度考える事を止め、ナニーさんに言われた通り、ゆっくり浸かる事にした。
どのくらい浸かっていたか分からないが、そろそろあがる事にした。
お風呂からあがると、いつの間にかタオルが用意されていた。
そのタオルで体を拭いていると、扉の開く音がした。
自然と視線を扉の方をむけると、ノーリ君の顔が見えたと思った瞬間、物凄い勢いで扉が閉められた。