226話・作製
皆に家の事を頼んだ後、転移結晶を取り出してから、ここに来る前の場所を思い浮かべ転移する。
転移後、そのまま歩いて帰ろうとしたのだが、歩く度に揺れるたぷんたぷんのお腹のせいですぐに足を止めた。そうしないと、口から飲んだ魔力回復薬が出そうになったからだ。
「はぁ…」
もうしばらくむこうでゆっくりしとけば良かったかなと少し後悔しながら、木の根近くに座り込み、木を背にして休む事にした。
休みながら、作製できていた魔石(大)を宝箱から取り出し、そのままアイテムボックスにいれる。そして、宝箱作製で、アイテムボックス欄からエリクサーを選択し、エリクサーの作製を始めた。
作製を始めると、する事がなくなったのだが、まだもう少しここに座ったまま消化を待った。
◆
「あれ、ここは…」
なぜ自分がこんな所にいるのか一瞬不思議に思ったけど、すぐに思い出す。どうやら、休んでいたまま寝てしまっていたようだ。
すぐに、エリクサーの作製状況を確認すると、既に作製が完了していたが、その代わりと言う訳ではないが、少し日も暮れかかっていた。
お腹のたぷたぷも少しは良くなっていたので、僕は小走りで家へと戻った。
ナニーさんらのいる家に戻り、家の中へと入ると、外に出ようとするナニーさんと出くわした。
「あらノーリ君、おかえりなさい。今丁度探しに行こうかと思った所だったのよ。随分長い事風にあたっていたみたいだけど体は大丈夫?」
「はい、大丈夫です。心配かけてすみません。風が心地よくて、少し寝てしまっていたみたいで…」
「そうなのね、なら良かったわ。でもそれじゃあ、湯冷めとかしてるんじゃないの?」
「えっと…」
言われてみれば、少しだけ体が冷えている気がする。
「もうすぐ夕食が出来るから、夕食を食べた後、また新しくお湯をいれるから、お風呂に入ってきなさい。」
「そこまで甘え… 「ノーリ君…」」
遠慮しようかと思ったけど、何だか断れそうな雰囲気ではなかったので、
「すみません。なら、お言葉に甘えて後でまた入らせて貰います。」
「そう、それでいいのよ。それじゃあ、手洗いをしてからリビングの方に来てくれる。」
「分かりました。すぐ行きます。」
「それじゃあ、また後でね。」
「はい。」
ナニーさんと別れてから、僕は言われた通り手洗いをしにお風呂場の方へとむかった。
脱衣所の扉を開けると、目の前に、誰かの裸があった。
バンッ
僕は、今まで生きてきた十数年の中で、1番最速で扉を閉めた。