閑話・尋ね人
私に、お客さんが来たとの事で、そのお客さんの待つ応接室にむかった。
一応待たせているので、そのまま部屋の中へと入ると、リーベが座っていた。
「ここに直接尋ねて来るなんて珍しいわね、リーベ? とびきりの情報でもあったの?」
いつも情報があったら、手紙や共通の知り合い経由で連絡をしてくれていたので、珍しくて最初にそう声をかけた。
「今の所、新しい秘薬の情報の方はないわね。」
「そっか… なら、どうしたの?」
「エルマーナちゃんの事よ。」
「エルマーナがどうかしたの!!」
「落ち着いて、グラディウス。」
「ごめん… それで、エルマーナがどうかしたの?」
「ついこの間、あそこを通って様子を見に行ったのだけど、症状って言っていいのか分からないけど、進んでいるみたいなの。」
「…起きている時間が短くなっているって事?」
「えぇ、そうよ。」
「そう… なら、よりいっそう急いだ方がいいわね。」
「そうね。ギルドの方の情報はどうなの?」
私は、首を横にふる。
「なら、私も頑張らないといけないわね…」
「頼りにしてるわよ、リーベ。」
「任せてと完全に言いきれないけど、エルマーナちゃんの為にも頑張るわ。それじゃあ、私はもう行くわね。」
「ありがとう、リーベ。」
リーベは、そのまま手をあげてから部屋を後にした。
私もすぐに駆け出し、エルマーナの為に動きたい所だが、適材適所。今ここで私が飛び出した所で、さほど役に立たない。だから、私は今出来る事をやるだけだ。
◆
更に月日が流れた。
リーベやギルドからだけでなく、元パーティーメンバーたちも協力して情報を集めてくれた。
その中には、本物の情報もあったのはあったのだが、既に使われた後だった。
今は、ギルドマスターの仕事をいけすかないサブマスターに任せてから、リーベに貰った情報で、離れた別の国に来ていたが、
「はぁ… 今回も空振りだったか…」
私は、ため息をつきながら、宿屋で体を休めていた。
エルマーナの状態は、更に悪化しており、今では終始寝ている状態になってしまっている。
焦ってもどうしようもないと分かってはいるが、やっぱり焦っている自分がいるのが分かる。
「帰った後、やる事済ませてから、リーベの所に行ってから、新しい情報がないか聞きにいこうかな…」
今では、手紙で情報を聞くより、直接出向く方が多くなっていた。
そうと決まれば、私はすぐ眠りについた。
翌日には、王都へと帰路についた。
この時の私は、王都に戻って早々、ゴブリンの大群を相手にするなど、思いもよらなかった。




