閑話・事後承諾
何故か、裏庭から現れたグラディウスの後に続き、裏庭に出ると、ライアまでそこにいた。
ライアに声をかけ、元気でいるようなので、良かったと思った瞬間、ライアの後ろの穴に目がいってしまった。
「ねぇ、グラディウス?」
「なに、リーベ?」
「この穴はなに?」
穴に近寄って、穴を確認しながら、そう聞いてみる。
奥は暗くて良く見えないが、かなり深そうだ。
「それについて説明する為に、リーベをここに連れて来たんじゃない」
「はぁ… そうだったわね。それじゃあ、最初から聞くから全て包み隠さずに話して頂戴。」
その後、グラディウスさん話を聞く。
パーティーを抜けて、ギルド職員になるのにも驚いたけど、まさかエルマーナちゃんの今いる家からここまで掘ってくるとは思わなかった。
「はぁ… 前々から、貴方の行動力には驚かされた来たけど、まさかここまでするとは思わなかったわ…」
「だって、秘薬を手にしても、エルマーナの所に戻るまでに時間がかかったら意味がないじゃない」
「それはそうだと思うけど、穴を掘る前に話をしておく事は出来なかったの?」
「あ、いや… その… 駄目だった?」
「まぁ、裏庭は特に使う予定はないから別にいいんだけど、その時の為の準備は、しっかりしてるわよ…」
「え、準備?」
「えぇ、ちょっと待ってて」
私は、2人を残して、家の中へと戻っていく。
◆
リーベに、パーティーを抜けた事や冒険者ギルドの職員になる事、エルマーナの住んでいる家からここまで、なるべく真っ直ぐに掘ってきた事を話した。
すると、少し呆れながら、準備をしていると言い、家へと戻っていった。
リーベは、すぐに戻ってきた。
「はい、これ」
リーベはそう言って、手に持っていたものを手渡してくる。それを受け取り、手渡された物を見てみると、
「これって…」
「転移結晶よ。」
「やっぱり、そうなのね…」
秘薬ほどではないが、これも珍しく値段もそれなりに高かった筈だ。私の為に、こんな物まで用意してくれるなんて。お礼を言う為、口を開こうしたら、
「あ、言っとくけど、それを買う為にかかった値段は、この件が片付いたら請求するからね。」
そう言われ、開こうとした口はそのままの状態で、一瞬固まってしまった。
「はぁ… そうよね。貴方は、そうだったわね。」
「当たり前でしょ。あ、グラディウスの事だから、1個だと壊しそうだから、念の為に、もう1個準備しているわ。」
そう言って、もう1個手渡してくる。
言いたい事がない訳ではないが、私の為を思ってやってくれている事には変わりないし、有難い事に変わりはない為、
「…ありがとう。」
一応お礼を言っておいた。