閑話・避難
僅か数日の間に、簡単にではあるが、数人が暮らせるような家を建てた。
私は、ライアにお礼を言い、なるべく人目につかないように、国へと戻った。
国へ戻ると、すぐに両親とナニーさんを集め、話し合いを始め、私は、この数日間でしてきた事を説明し、すぐにでも避難出来る事を伝えた。
そして、それならばと避難先はそこに決まった。
避難先が決まると、誰が行くのか、いつ行くのかなど具体的な内容を話し合った。
◆
話し合いから数日後
「それじゃあ、私がエルマーナを背負うから、ナニーさんとアリーは、私の後からついてきて下さい。」
「分かったわ。」 「分かりました。」
避難先にむかうのは、私とエルマーナ、ナニーさん、そして家精霊のアリーの4人のみとなった。ナニーさんは、自分から名乗り出てくれて、アリーは、両親から連れていくように言われた。
アリーは、王家に使えている家精霊の1人で、両親からの信頼も厚い方だ。
今は、人目につかず、誰にもばれないように、王のみが知る隠し通路を使ってまずは、国の外へとむかう。
お父さんから聞いた道順で進んできて、そろそろ出口の筈だ。
外に出る前に、念の為、土の精霊と風の精霊にお願いして、近くに誰かがいないか確認する。
誰もいない事を確認した為、そのまま避難場所へとむかっていた。
避難場所には、何事もなく無事にたどり着いた。
◆
隠し通路を出た後、ぐーちゃんを先頭に進んでいく。
誰かが後をつけてくる可能性を考慮して、隠し通路を出た後も、土や風の精霊に頼み、辺りの確認しながら進んでいき、そろそろ日が落ちそうになり始めた頃に、到着した。
「ここがそうなの、ぐーちゃん?」
目の前には、窓も何もない木で出来たシンプルな家が建っていた。
「はい、そうです。私の知り合いと一緒に作った家です。あ、因みに、その横にある小屋みたいなものが、リーベたちと作ったものですよ。」
「あれがそうなのね…」
娘も手伝って作ったと聞いて、後で確認してみようと思った。
その後は、家の中を確認したり、娘やぐーちゃんの知り合いのドライアドに会わせて貰ったりして、何事もなく1日を終えた。
◆
避難場所に到着してから、数十日が経過した。
その数十日の間に、念のため、私が暫く不在を装って、家の周辺で見張りをしたりもしたが、何もおこならかった。
その為、エルマーナの事を2人に任せて、私も秘薬の入手の方に力をいれようと決めた。
今日、出発する事にした。
「エルマーナ。私が必ず秘薬を探すから、待っててちょうだい。」
「分かりました、お姉様… でも、無理はしないで下さいね…」
「気を付けるわ。ナニーさん、アリー、エルマーナの事をお願いします。」
「任せて、ぐーちゃん。」 「お任せください、グラディウス様。」
「それじゃあ、いってきます。」
「いってらっしゃい、お姉様。」
「いってらっしゃい、ぐーちゃん。」
「いってらっしゃいませ、グラディウス様。」
私は、エルマーナの事を2人に任せ、家を後にした。