閑話・秘密基地
扉が勢いよく開き、お父さんが入ってきた。
お父さんはそのまま私の方へきて、
「いたっ!!」
頭をはたいてきた。
「何する…」
そして私が、文句を言う前に、抱き締めてきて、
「少しは、連絡くらい寄越さないか…」
震える声で、そう言ってきた。
私は咄嗟に謝ろうとして、ふと気になった事があった。
「まれにだけど、手紙は送ってた筈だけど…」
確かに、エルフ国に手紙を送る事じたい難しいのだが、私は、リーベに頼んで、数ヵ月から数十ヶ月程の間隔で、手紙をお願いしていた筈だ。
「何!! それは、本当か!!」
「え、うん。ちゃんと、お母さんに送ってたよ。」
「あなた、私はちゃんと報告してた筈ですよ…」
お父さんの後ろから、お母さんも来ていたようで、そう教えてくれる。
「え… あれ? そう言われてみればあったような…」
ぶつぶつ言い出したお父さんを無視して、お母さんに帰ってきた挨拶をする。
「ただいま、お母さん!!」
「おかえりなさい、グラディウス。元気そうで良かったわ。」
「うん、私は大丈夫だよ。でも、エルマーナが…」
「そうね。その話を今からしましょうか。お姉ちゃんもいい?」
「分かった。」 「大丈夫よ。」
「ほら、あなたも行くわよ!!」
「痛!! 分かった分かったから、その手を離してくれ!!」
耳を引っ張られたお父さんはわめき散らすが、お母さんは聞く耳もたずそのまま部屋を出ていくので、私たちもその後についていく。
その後、別の部屋で、今後の話について、話し合った。
エルマーナの避難先を、私が以前リーベやライアと作った秘密基地を提案してみた。
話し合いの結果、避難先の候補に決まったが、、1度、その秘密基地の確認をした方がいいのではと言われ、1人で、確認しに行くとした。
◆
たどり着いた秘密基地は、大分前に作ったのもあるせいか、少しガタがきていて、前より小さく感じた。
「さて、どうしたものか…」
ガタを直したとしても、とても数人が暮らせるようには見えないので、どうするか悩んでいると、
「どうかしたの…」
振り返った先には、ライアが立っていた。
「なんだ、ライアか。脅かさないでよ…」
「そんなつもりはない… それで、どうしたの?」
「えっとね…」
どうしたものか一瞬迷ったが、ライアなら信用できると思い、私がここに来た理由を説明した。
そして、ここを修理… いや、新しく作り建てる手伝いをお願いすると、ライアは、快く引き受けてくれた。
そして、僅か数日の間に、簡単にではあるが、数人が暮らせるような家を建てた。