閑話・帰郷
私は、エルフの国の王女として生まれた。
エルフの子供は生まれにくく、更に、初の子供とあってか大切に育てられた。
すくすく育って行くなかで、国の外の話に興味を持ち始め、更に冒険者に憧れるようになった。
だからか、自然と私の夢も、この国の女王になる事でなく、冒険者になる事になっていた。
その為、冒険者に必須な、自分の身は自分で守る力を身に付ける為、王女としての教育や勉強をこっそりとサボりながら剣術や精霊魔法などの訓練をしようとした。
まぁ、普通に見つかってナニーさんに怒られたりしたが、何とか勉強と訓練の時間を半分で許して貰えた。
妹のエルマーナが生まれてからは、勉強や訓練より妹を甘やかす時間の方が多くなってしまったが、それは仕方ない事だと諦め、妹を甘やかした。
更に時が立ち、ある程度の力がついた私は、なんとか両親たちを説得して、私は冒険者になれるようになった。
そして、国を出てから冒険者になった私は、1つ決意した事があった。それは、立派な冒険者になるまで、国には帰らないというものだ。
その決意のもと、がむしゃらに依頼を受けて頑張り、様々な事もあった。その中で、信頼できる仲間も出来て、パーティーを組んでダンジョンへ潜ったりし、実力をつけていった。
そして、Sランクパーティーまで登り詰め、世間では、剣聖と呼ばれるまでに、成長した。
だから、私は、国を出た時に決意した事を達成出来たと判断し、本当に久しぶりに、国へと戻った。
久しぶりの国や周りの景色に、少しウルッとくるが、何とか持ちこたえ、城へと戻ってきた。私の事を覚えている者がいて、すんなり城へと入れた。
城へ入ると、何故か少し慌てた様子の乳母のナニーさんが出迎えてくれた。
◆
えっちゃんは、ぐーちゃんみたいに勉強をサボろうとしたりせず、しっかりと勉強や教育を受けてくれるので、とても助かる。
だけど、そんなある日、いつも予定の時間前に来ているえっちゃんが、来ていなかった為、呼びに行くとまだ眠っていた。
「えっちゃん、えっちゃん。」
声をかけながら、肩を揺らす。
「ん… ナニー先生…」
「えぇ、そうよ。それで、えっちゃんは、体調でも悪いの?」
「少し、体が重たく感じるくらいです…」
「そう。なら、今日はゆっくり休んで頂戴。話しは、私の方から通しておくから。」
「すみません…」
「気にしなくて、いいのよ。それじゃあ、お大事に。」
私は、部屋を出て、えっちゃんの体調が悪い事の報告へとむかった。