220話・気になる事
ナニーさんからの衝撃的な事実を聞き、この家にエルフの王女様が2人もいる事が分かった。
少しだけ、聞いた事を後悔してくる。
「それで、話を続けるけど、ここに王女がいると聞いて、ノーリ君は気になる事とかない?」
「気になる事ですか?」
「えぇ、そうよ。」
ナニーさんにそう言われ、気になる事を考えてみるが、
「…すみません、分かりません。」
そう答えると、
「なら人族の王族が、どこに住んでいるのか分かる?」
別の事を聞かれる。
その答えは分かったので、答える。
「お城とかですか?」
「そうね。因みに、エルフ国にも王城はあるわ。これを聞いてどう?」
どうと言われてもな… たぶん、考えてみてって事だよな。えっと、今の話からして、王女とお城が関係あるのだと思うから、それを踏まえて考えてみる。
すると、今度は気になる事が出来た。
グラディウスさんが、ここに会いに来たって事は、もしかして、エルマーナ様は王城ではなく、ここに住んでいるのか?
そう答えを出した僕は、
「もしかして、エルマーナ様の事ですか?」
そう答えると、
「正解よ、ノーリ君。」
当たっていた。
正解すると、今度は別の事が気になり出したので、聞いてみる。
「でも、どうしてエルマーナ様は、ここに住んでいるのですか?」
「エルマーナ様… えっちゃんはね、今、目を覚まさない状態なの。」
「目を覚まさないですか? もしかして、ご病気か何かで療養中と言う事ですか?」
「当たらずと雖も遠からずね。」
「どういう事ですか?」
「それはね…」
僕は、ナニーさんからエルマーナ様の状況を聞いた。
◆
自然と握っている手に力がこもった。
「あ、ごめん、エルマーナ。」
力がこもっているのに気づき、力を緩め謝る。
だけど、返事は返ってこない。
ふと、いつからエルマーナの声を聞いていなかったのか振り返る。
「そっか… 私が冒険者なる為に、国を出た時が最後だったっけ…」
今思えば、私が冒険者にならなかったら、未来も変わっていたのかもしれない。
「まぁ、今さら何言っても遅いか…」
そう呟きながら、今度は力を込めすぎないように、握るのではなく優しく撫でる。
「秘薬さえあれば、エルマーナも…」
情報を多く得られるように、リーベに任すだけでなく、ギルドの職員になり、ギルドマスターにまで登り詰めたのだが、未だ秘薬を手に入れる事は叶わなかった。
作者より
当たらずとも遠からずは誤りで、正式には当たらずと雖も遠からずが正しいそうです。