213話・寝不足
ライアが寝たのを確認しながら、少しめくれていた布団をしっかりかけてあげる。
「さて、私も寝ようと思うのだが…」
ちらっと横目でライアをみた後、先程のライアの発言を思い返す。
『何となく同族の気配を感じた…』
いったいどういう事なんだろうか…
ライアが嘘をつく理由がないから、何かを感じたのは間違いないと思う。しかも、それだとノーリ君が、ライアを見て驚かなかった事の説明がつくのはつくのだが、今度は、ノーリ君がドライアドに会ったのが初めてと言った理由が分からない。
本人に、聞こうにもそこまで踏み込むべきか迷う所ではある。
私は、暫くの間、どうするか考えていたせいか逆に目がさえ、中々眠れなかった。
ただ、眠れない代わりに、結局ノーリ君が教えてくれるまで、待つ事は決めた。
◆
「ふぁ~」
僕は、欠伸をしながら体を伸ばす。
テントから外をチラッと見てみるが、辺りはランプの光しかなく、今がいつなのか分からない。
ライアさんは、天井付近にうっすら見える木の根から、今がどのくらいなのか聞いているらしい。だから、ライアさんに聞けば、今がいつなのか分かるのだが、まだ寝ているようなので、起こすのは忍びない。
だから、
『アコ、今いいかな?』
僕は、アコ(コアの方)に念話を送る。
『どうされましたか、マスター』
『悪いけど、今いいかな?』
『はい、大丈夫です』
『なら、今がいつ頃教えてくれるかな?』
『今は、日が昇り始めて少したった頃だと思います』
『そっか、ありがとうアコ』
『お役に立てて光栄です』
念話を終え、身支度を整えてから朝食の準備をしていると、ライアさんが起きてきた。
「あ、おはようございます、ライアさん。」
「おはよう…」
挨拶した後、ライアさんに顔を洗う用に勧め、洗い終わったライアさんが果物を要求してくるので、食べすぎないように、1つだけ手渡した。
朝食の準備が終わる頃に、グラディウスさんが起きてくる。
「おはようございます、グラディウスさん。何だか眠たそうですけど、寝れなかったんですか?」
「あぁ、おはようノーリ君。いや、ちょっと考え事をしていたら寝るのが遅くなってね。」
「そうだったんですね。出発を遅らせますか?」
「いや、大丈夫だよ。ただ、移動中眠らせて貰うわね。」
「分かりました。僕は、大丈夫ですよ。」
「私も、別にいい…」
「ありがとう、2人とも。」
その後は、朝御飯を食べ、出発する。
グラディウスさんは、言ってた通り、寝てしまったので、ライアさんと2人で、話をしながら進んでいった。
作者より(捕捉)
等間隔ごとに、通路の横側に、1m×1m程のスペースがあります。そのスペースに、グラディウスが土の精霊に頼み深い穴を開けて貰い、色々な物を捨ててます。