18話・いざダンジョンへ
ダンジョンのある方角へ歩きだした。
ダンジョン周辺では、今からダンジョンへ潜る為に、列に並ぶ冒険者。簡易ギルドで素材を売っているダンジョン帰りの冒険者やその対応に追われる職員。その冒険者達をターゲットにした食べ物の屋台など数多くの人で賑わっている。僕も早速、その列に並ぶ。
僕がダンジョンへ潜るのは、これで2度目になる。
1度目は、僕のユニークスキルの確認の為に、ギルドが用意してくれたパーティーと潜った。だけどあの時は、ただ守られついて行っていたに過ぎなかった。だから、これが本当のダンジョン攻略への1歩だと僕は考えていた。
「次の方どうぞ!!」
「はい!!」
受付の職員に呼ばれる。僕の順番が、やって来たのだ。
「今日はお一人でダンジョンへ潜られるのですか?」
「はい。」
「期間はどの程度をお考えですか?」
「夜になる前には、戻ってくる予定です。」
「分かりました。では、こちらに、お名前と自身の階級、どの階層まで潜るのかをお書き下さい。代筆は必要ですか?」
「いえ、大丈夫です。」
僕は、職員に手渡された物に、名前と自分の階級、それに今日潜る予定の1階層と書き込む。書き込んだ後は、それを職員へ返す。
「Eランクのノーリ様ですね。それでは、ご武運をお祈りしています。」
「ありがとうございます。」
受付を済ませた僕は、ダンジョンへ入っていく。
初めてダンジョンに来た時に、なんで受付をするのか、連れてきて貰ったパーティーに聞いた事がある。えーと確か、申請期間を5日以上過ぎても帰ってこない冒険者を探して、少しでも冒険者の死亡率を減らす事が目的だった筈だ。まぁ、その場合は、ほとんど亡くなっていたり、見つからない事の方が多いそうだ。だけど、それに助けられたという冒険者も少なからずいるみたいだ。
そんな事を思い出しながら、ダンジョンに入り込む。
ダンジョン内は、あの時と変わっていなかった。中は、適度な明るさに保たれている。ダンジョンでは、次の階層への階段などや特殊な馬車を除き、いつどこから、モンスターが湧き出てくるか分からない。だから、慎重に進んで行く。簡単ではあるが、マッピングも行う。
時折、他の冒険者ともすれ違ったりする。だけど、冒険者だからと言って、気を抜くのは良くない。ダンジョンの中では、冒険者を殺して素材を奪う者もいると聞いた事があるからだ。
ギルドの本によると、1~9階層に出てくるモンスターは、スライムとゴブリン系統で、10階層のボスモンスターもそのどちらかだと言う。
その記念すべき最初のモンスターは、スライムだった。森でスライムを倒したからと行って油断してはいけない。ここは、森と違って隠れる場所が無いからだ。
僕は、剣を引き抜き、スライムと対峙する。スライムの体が少し膨張したかと思うと、僕にむかって真っ直ぐ飛び込んでくる。飛んできたスライムを躱し、着地し少し硬直しているスライムの核めがけて剣を振りおろし、核を砕いた。
スライムが消えた後には、小さな魔石が1つ落ちていた。それを拾おうとすると腰を屈めた時、背中に衝撃を受け、僕は、地面を転がる。痛みに堪えながら何が起こったのか、確認すると、僕がさっきまでいた場所に、もう1匹スライムがそこにいた。