209話・ドライアド
木からゆっくりと現れた人は、体の所々が木で出来ていたので、もしかしてと思っていると、
「急に現れて驚いたでしょ、ノーリ君。見るのは初めてだと思うけど、彼女は、ドライアドよ。」
僕の横で、グラディウスさんがそう教えてくれる。
「やっぱり、そうなんですね。」
思った通り、ドライアドだった事に納得していると、
「…ノーリ君、もしかしてドライアドにあった事あるの?」
何故か、グラディウスさんが少し訝しげに聞いてくる。
ハイ・ドライアドの、ドリさんやアードちゃんとは一緒に暮らしているけど、ドライアドに会ったのは初めてなので、正直に答える。
「いや、初めてですけど、どうしてですか?」
「いや、だって初めて会ったっていう割には、驚きが少ないから… 普通、目を見開いたり、驚きすぎて腰を抜かしたりするものよ?」
「そうなんですか?」
何だが、少し誇張し過ぎなような気がしたので、リーベさんに確認してみると、リーベさんは少し笑いながら、
「あながち間違ってはないわね。だって、私たちがこの子に会った時そうだったから。」
そう答えてくれる。
どうやら、誇張ではなかったみたいだ。
「そう…」
だったんですねと言おうとする前に、
「あ、リーベ。そこまで言わなくていいでしょ!!」
グラディウスさんも話しに加わってくる。
「いいでしょ分かりやすくて。因みに、目を見開いてたのが私で、腰を抜かしたのは…「リーベ!!」」
「分かったから、そう怒らないで、グラディウス。ごめんね、ノーリ君いらない話しちゃって。」
「だ… 大丈夫です。」
そこまで言ったなら答えを言っているみたいなものだが、僕は聞かなかった事にした。
「それじゃあ、改めて紹介するわね。私たちの親友のドライアドのライアよ。」
「ライアよ。よろしく…」
「よろしくお願いします、ライアさん。僕は、冒険者をやっている人族のノーリと言います。」
リーベさんより紹介され、挨拶を済ます。
挨拶後は、
「本で読んだのですが、ドライアドに出会うのってやはり珍しいんですか?」
短い期間で、ドライアドやハイ・ドライアドに出会っているので、聞いてみる。
「そうね。私たちって、見た目の割にかなり生きているけど、それでも片手の指で数えれる程しか会った事ないわね。グラディウスはどう?」
「私も、同じくらいだね。」
2人の答えを聞いて、やはり珍しい事だと再認識する。
「そうなんですね。教えてくれて、ありがとうございます。」
「別にいいのよ。それじゃあ、移動する前に、ノーリ君もいる事だし、移動方法について簡単に説明するわね。」
そう言い、リーベさんから移動方法を聞く。