190話・やらかした…
鉱物製作した後、皆と引っ越した者たちの様子を見に行こうという事になっているので、1度上へと戻り、準備万端の皆と1階層へ下りて、森へとむかった。
森に近づくと、いつもの定位置にいたレイが立ち上がり、こっちへとむかってきた。
「どうかしたかい、レイ?」
「メェ (散歩しようかと思ったら、皆が来てたからどうしたのかなと思って)」
「そっか。」
来た理由を答えようとする前に、
「ねぇ、お兄ちゃん。レイは何て言ってるの?」
レイの言っている事が分からないソフィアがそう尋ねてきたので、レイが何を言っていたのか教えると、
「なら、レイも一緒に連れていったらどう、お兄ちゃん?」
「そうだね。」
僕は、レイにここに来た理由を教え、一緒に来るか確認すると、
「メェ (行く)」
首を縦に振りながら、行く意思を見せたので、レイも引き連れて、皆で森の中へと入って行く。
森の中の動物たちを探しながら、僕は念話経由で、レイと話をする。
『そう言えば、レイは、引っ越してきた日以外で、引っ越して動物たちに会ったりしたの?』
『メェ (散歩している時に、何度か見かけたくらいかな)』
『そうなんだ。それで、レイが見た感じどう? ちゃんと、仲良くやってそう?』
『メェ (まじまじとみた訳じゃないから、分からないけど仲はいいと思うよ)』
『そっか』
まぁ、ここに来る前から、ドリさんの結界内で上手くやっていたようだし、場所が変わっただけだから、そんなものかと思っていると、
『メェ (ただ、何だか皆少し元気がないように、見えたんだよね)』
レイがそう教えてくれる。
『元気がなさそう?』
『メェ (うん)』
『理由とか分かる?』
『メェ (分かんない)』
『そっか…』
僕はどうしたのか、考えながら歩いていると、
『メェ (あ、そう言えば)』
『ん、何か思い出したの、レイ?』
『メェ (皆、僕と一緒で草を食べてたよ)』
『草? 皆が?』
『メェ (うん)』
それを聞いて、ふと思う。
確か、僕の記憶が正しければ、狸や狐などの動物もいたような…
少しして、僕はある事に気づいてしまう。
すぐその場に立ち止まり、本体のアコに念話を送る。
『アコ、今すぐに森の中にいる動物たちの状態を確認して!!』
『分かりました。少しお待ち下さい』
急に止まった僕を皆不思議そうに見てくる。
「どうしたの、お兄ちゃん?」
「ちょっと、気になる事があってね。今、それをアコに確認して貰っているから悪いけど、ちょっと待ってね。」
僕は、そう言ってから、アコの報告を待つ。
少しして、アコから念話が届く。
『確認した結果、森の中にいる動物は、全員軽い空腹状態です』
その報告を聞いて、僕はすぐに行動に移した。