184話・ショー
マリヤに、ギルマスの代理をお願いし、無事了承して貰った。
「それでは、ギルマス、私は仕事に戻らせて貰います。」
「了解。私は、もう少し休ませて貰うけど、緊急時は、すぐに起こして頂戴。」
「分かりました。では、失礼します。」
マリヤを見送った後、ギルドに付属されている仮眠室ではなく先ほどまで寝ていたソファーで横になる。仮眠室の簡易ベッドよりここのソファーの方が柔らかいからだ。
目を閉じ、眠りにかかったところで、
「あ… 彼女の事聞くの忘れてた…」
あの家から出てきた、タオルを巻いた女性の事だ。
「まぁ、次会った時にでも、聞けばいいか…」
そう決めた私は、夢の中へと旅立った。
◆
グラディウスさんの話し合いを終え、僕は家へと帰った。
「ただいま。」
家に入り、帰ってきた事を伝えると、リビングの方から音がし、
「おかえり、お兄ちゃん。」
「おかえり…」
「おかえりなさい、ノーリさん。」
「おかえりなさいませ、マスター。」
皆が出迎えてくれた。
「ただいま、皆。あれ? 皆が着ている服って…」
「そうだよ。お兄ちゃんが買ってくれた服だよ。どう、お兄ちゃん?」
ソフィアはそう言いながらアコを、アードちゃんがドリさんを前に押し出し、2人の全体像が見える。
「ど… どうですか、ノーリさん。」
ドリさんは、少し恥ずかしそうに、
「どうでしょうか、マスター。」
アコは、胸をはってそう聞いてくる。しかも、アコに至っては、その場でクルクルと周り、後ろ姿まで見せてくれる。
「似合ってるよ、アコ。ドリさんもとてもお似合いです。」
「「ありがとうございます、ノーリさん (マスター)。」」
2人は、笑顔でお礼を言ってくる。
その後、ソフィアとアードちゃんも、服屋で試着していなかった服を着ていたので、2人も誉めてつつ頭を撫でてやり、皆で、リビングへと移動する。
「それで、お兄ちゃんが呼ばれた理由って何だったの?」
ソフィアが聞いてきた事に対し、僕は、教えていなかった特別依頼の事も踏まえて話し始める。
「…それで、Bランクになったんだ。色々黙っていてごめんね、ソフィア。」
「そんな事があったんだね… でも、無事に帰ってきてくれたから、謝らないで、お兄ちゃん。」
「ソフィア…」
「それより、ランクアップおめでとう、お兄ちゃん!!」
ソフィアに続き、あまり話を理解していなさそうな3人も、
「おめでとう…」
「おめでとうございます、ノーリさん。」
「おめでとうございます、マスター。」
祝いの言葉をかけてくれる。
「ありがとう、皆…」
少し涙ぐみそうになりながら、お礼の言葉を伝える。