1話・冒険者ノーリ
ポリーナさんたちの了承得てから、僕は冒険者になった。冒険者になってから、もう一月が過ぎ去り、僕は11歳になった。
今日も僕は、近くの森で回復草の採取のクエストを受けていた。この森は、冒険者が定期的にモンスターを倒しているので、モンスターとの遭遇は殆ど無い。
そんな森の中で、ため息をつきながらも、手だけはしっかり動かす。
僕は、手を動かしながら、1ヶ月前の事を思い出す。
◆
次の日、僕は冒険者ギルドへむかった。
遠目では見たことあったが、改めて近くで見てみると、何倍も大きく感じた。
早速、ギルドへ入り、受付へむかう。
「受付のマリヤと申します。今日は、どのようなご用件でしょうか?」
受付の綺麗なお姉さんは、笑顔を崩さず尋ねてくる。
「ぼ… 僕は、ノーリって言います。冒険者登録をしに来ました。」
少し緊張しながらも、ここに来た目的を答える。
「冒険者登録ですね。では、必要事項をお書きしてから、提出して下さい。代筆は必要ですか?」
紙をうけとる。
「いえ、大丈夫です。」
この国では、貴族、平民関係なく、その能力を伸ばす為に、魔力測定と筆記試験だけで魔法学園に入学する事が出来る。他にも、剣術学園もあったりする。
学園を卒業した方が、安定した職業につけるので、僕も頑張って勉強して入学した。だから、文字の読み書きはマスターしている。
必要事項を書いてから、提出する。
「はい、大丈夫ですね。では、次にこちらの機械に手を置いてから、魔力を流して下さい。」
「分かりました。」
僕は、言われた通りに、手を置き魔力を流す。
「はい、もういいですよ。」
「分かりました。」
手を離す。すると、手を置いていた機械から、1枚のカードが出てくる。
「はい、こちらがギルドカード及びステータスカードになります。魔力を流すと、自身のステータスが写し出されます。」
「そうなんですね。この周りの加工は何ですか?」
カードの周りは銅?で加工されている。
「ノーリ様は、E級冒険者ですので、ブロンズ加工のカードになっています。D級までがブロンズ、C・B級からシルバー、A級がゴールド、S級がミスリル加工となっています。」
「分かりました。ありがとうございます。」
僕は、カードに魔力を流す。すると、ステータスが写し出される。
名前:ノーリ 種族:人族 年齢:11 性別:男
LV: 1 生命力: E 魔力: S
力: E 器用: D 防御: E 敏捷: D
知力: A 精神: E 運: D 魅力: D
スキル:剣術Lv1 宝箱作製Lv1
称号:ー
スキルポイント:0
あれ? スキルが増えている。
学園で見たときには、剣術しかなかった筈なんだけどな。
「すみません、スキルが増えているのですが何故だか分かりますか?」
「スキルが増えているのですね。おめでとうございます。生まれた時に最初なら備わっているスキル以外に、スキルを獲得する方法は、2通りの方法があります。1つ目は、修練など行うことによって自然と獲得する方法です。ですが、この方法では、その人の向き不向きがありますので必ず獲得出来る補償はありません。2つ目は、スキルのスクロールを使う方法です。この方法ですと、その人の向き不向き関係なくスキルを獲得する事が出来ます。」
「スクロールを使ったことは、無いので、僕のは、自然と覚えたスキルなんですね…」
でも、僕こんなスキルを獲得するような、修練とか積んだ記憶がないんだけどな。
「なら、これって何のスキルなのか分かりますか?」
僕は、カードを受付のお姉さんに見せてみる。
「宝箱作製スキルですか? 見たことも、聞いたことも無いスキルですね。たぶん、ユニークスキルだと思いますよ。カードのスキルを長押しすると、詳細を確認する事が出来ますよ。」
「分かりました。やってみます。」
宝箱作製スキルを長押しする。
宝箱作製 ・・・ 宝箱を作製する事が出来る。
必要スキルポイント:10
「「?」」
詳細を見てみたが、お姉さんと共に首を傾げる。
「そのままですね… マリヤさんは、分かりますか?」
「すみません、私もちょっと分からないですね。上の人に聞いてみます。」
その後は、あれよあれよとスキルを試すことになった。
僕は今、冒険者が使う訓練場に案内された。
周りでは、何人かの冒険者が訓練していた。
「では、スキルを発動してくれ。」
受付のお姉さん… マリヤさんではなく、このギルドのサブマスターが対応してくれた。
「分かりました。宝箱作製!!」
すると、目の前に宝箱が表れた。大きさは、横15センメトル(cm)、縦10センメトル(cm)、高さ10センメトル(cm)程の小さい物だった。
「この小さな箱が、宝箱か? 中には何が入っている?」
「確認してみます。」
宝箱を開けてみる。中身は入ってない、空だった。
「な… 何も入っていません。」
「…もう一度やってみろ!!」
「分かりました。」
その後、何度も宝箱を出した。
何度出そうとも、宝箱の中身は空だった。
「もう、いい!! 次の検証に移るぞ!!」
その後、宝箱に短剣を入れてから出し入れしたり、他の冒険者に連れられ街のダンジョンに潜り、そのダンジョンで見つけた宝箱の近くで宝箱を作成したりしてみた。その結果…
「はぁ… お前のそのスキルは役に立たないクズスキルだ。」
「!? で… でも、宝箱に入れた物は出し入れ可能でした。これは、役に立つんじゃあ…」
「黙れ!! お前のそれは、たいした量は入らない。しかも、アイテムボックスや魔法袋の方が何百倍も量が入って役に立つわ!!」
「それは、そうですけど… そうだ、スキルのLvが上がったらもしかして…」
「黙れ!! そんなクズスキルにもしかしてなどない!! 分かったなら、さっさと消えろ!!」
「分かりました…」
マリヤさんに挨拶して、このまま僕は、ギルドを後にした。
数日後には、空箱しか出せないクズスキルという噂が広がり、空箱のノーリとバカにされるようになった。どうやら、あのサブマスターが広めたようだ。そんな噂のせいで、パーティーすら組むことが出来ずに、ソロでクエストに望むことになった。
◆
「はぁ…」
納品数の薬草を採取したので、街へ戻ろうと腰をあげると、目の前の草むらから誰かが表れた。