181話・依頼報酬
2人を家に送ってから、僕は、冒険者ギルドにむかった。
ギルドについてから中へと入ると、僕から話しかける前に、マリヤさんが僕に気付いたようで、話しかけられ、部屋へと案内される。
コンッコンッ
「マリヤです。ノーリ君が来られたので、連れてきました。」
マリヤさんが言い終わる前に、ガタンッと中から何かが落ちるような音がしていた。
「中、大丈夫でしょうか?」
「た… たぶん?」
そう言いながら、マリヤさんと顔を見合わせると、
「は… 入って大丈夫よ。」
入室許可がおりる。
「そ… それじゃあ、ノーリ君。私は、まだ仕事が残っているから戻るわね。」
マリヤさんは、そう言って受付へと戻っていくので、僕は恐る恐る扉に手をかけ、
「失礼します。」
部屋の中へと入り、グラディウスさんに進められるまま、目の前のソファーに腰かける。
グラディウスさんは、飲み物の用意をしてから、座り直す。
「ノーリ君。出掛けていた所、急に、呼び出して悪いわね。」
「い… いえ、それは大丈夫です…」
僕は、グラディウスさんの口元にみえる涎の後を直視しないように答える。
「それで、今日呼ばれた理由は…」
「想像通り、特別依頼の報酬の件よ。まずは、これね。」
ジャラジャラと音がする袋を机の上に置く。
「これは、ちゃんとした報酬だからちゃんと受け取ってね。」
「はい、ありがとうございます。」
袋を受け取り、アイテムボックスに入れておく。
「それじゃあ次に、ランクを上げるから、カードを渡して貰ってもいい?」
「はい、分かりました。」
グラディウスさんにギルドカードを渡すと、グラディウスさんは立ち上がり、仕事机の方に行き、手早く何かを済ませてから戻ってくる。
「出来たよ、ノーリ君。はい、どうぞ。」
「ありがとうございます。」
受け取りながら、僕も、これでCランク冒険者かとよりいっそうしっかりしないといけないなと思っていると、
「それじゃあ、ちゃんと変わっているかどうか魔力を流してみて。」
「はい、分かりました。」
僕は、言われた通り何も考えずに魔力を流す。
「どう変わってる?」
「はい、変わって… あれ?」
元のDランク部分は、ちゃんと変わっていたのだが、
「どうかしたの?」
「グラディウスさん。これたぶん間違えてますよ。」
「どうして?」
「だって、僕は、Cランクになる筈なんですが、ここに書かれているランクは、Bになってますから。」
僕は、再度ギルドカードを確認してから、そう答える。
「ノーリ君。それなら、間違ってないよ。」
「?」
僕は、グラディウスの言っている事が分からなかった。