172話・追加機能
魂人形をアコに使って貰ったが、いい結果は出なかった。
次の手を考える前に、使う予定のなくなった魂人形をアコに取り込んで貰う。
取り込んですぐに、
『マスター!!』
アコが、少し慌てた様子で呼んできた。
「ど… どうしたの、アコ? 何だか慌ててるようだけど?」
『ダンジョンレベルが上がりました!!』
今までにも何度か上がった気がするが、ここまで慌てているアコをみるのは初めてだ。
「そうなんだ。それで、今回も何か出来る事が増えたの?」
『はい!! 説明するより、見た方が早いと思うので、これを見て下さい!!』
アコがそう言うと、アコに文字が浮かび上がる。
僕は、それを読んでみる。そこには、こう書かれていた。
追加機能:偵察者
効果:ダンジョン外周辺を偵察する者を造り出す。造り出した偵察者の感覚は、ダンジョンコアとリンクしており、操る事が出来る。
活動範囲は、ダンジョン内全域とダンジョンの入り口から3キロメトル以内。ダンジョンレベルが上がるにつれて、活動範囲も広がる。
僕は、1度目を閉じ、書かれていた内容を頭の中で数回反芻した後、目を開け、
「ねぇ、アコ。」
『はい、何でしょうか?』
「この追加機能って、もしかして、アコのお願いを叶えられそう?」
『可能性は高いと思います!!』
「だよね…」
少し都合がいいような気もするが、これで、アコのお願いを叶えられるならいいかと、すぐに、追加機能を使ってみる。
使った瞬間、僕の隣に光の玉が現れる。
光の玉は、徐々に大きくなったかと思うと、今度は人型を形成していった。
完全な人型になると光が弱まっていき、光が消えた瞬間、僕はすぐに後ろをむく。だって、そこには、僕より歳上に見える裸の女性が立っていたからだ。
「マスター」
後ろから僕を呼ぶ声がする。
僕は、背をむけたまま、
「アコなのか?」
そう尋ねると、
「はい!!」
返事と共に、背中に2つの柔らかい感触がする。
「あ… アコ!! どうしたの?」
「すみません、嬉しくて…」
「そ… そっか。なら、1度離れてくれる。今、何か出すから。」
「分かりました。」
アコが離れた後、アイテムボックス内を探すが、アコの大きさに合う服はないので、体を拭く用の大きめのタオルを取り出し、後ろをむいたまま手渡す。
「アコ。こんなので悪いんだけど、体に巻いてくれる?」
「分かりました。」
少しして、
「巻けました、マスター!!」
「分かった。」
僕は、振り返り、その体がどんな感じが聞こうかと思ったが、振り返った瞬間、
「あ、落ちました。」
バサッと音をたて巻いていたタオルが落ちたので、僕はそのまま一回転した。