165話・説得 2
目を覚ました私たちは、周りを見ると、ドリさんの姿がなかった。
「ドリさんがいないね?」
「あ、本当だ…」
もしかしてと思い、お兄ちゃんの寝ているベッドを見てみると、お兄ちゃんもいなくなっていた。
だから、2人を探そうと外に出てみたら、昨日お兄ちゃんと話した場所で、2人を見つけた。ただ、声をかける前に2人は、手を繋ぎ姿を消した。
それを見た私たちは、顔を見合わせた。
「2人ともどこかに、行っちゃったね…」
「行ったね…」
「アードちゃんは、何か聞いてる?」
「ううん…」
「そっか…」
私も、何も聞いてないから、お兄ちゃんたちがどこに行ったのかは分からない。
「どうしよっか、アードちゃん?」
「どうしようか?」
2人で、どうするか考える。
考えた結果、
「朝御飯でも作って、待ってようか?」
「うん!!」
私たちは、昨日使わなかった食材を使い、朝御飯を作りながら2人を待つ事にした。
◆
「ダンジョン移動!!」
僕は、ドリさんを連れて、家のダンジョンへと移動する。今回は、ダンジョンルームではなく、直接森の前に、移動した。
目の前に広がる森を見て、ドリさんは目を見開き驚く。
「の… ノーリさん、ここはいったい?」
驚いた顔のまま、ドリさんが尋ねてきたので、
「僕の家の地下ですね。」
僕がそう答えると、首をかしげた後、もう一度森を見渡した後、
「は?」
信じられないという顔をしていた。
「言葉通りですよ、ドリさん。まぁ正確に言うには、僕の家の下にあるダンジョンです。」
「ダンジョン…」
「はい、そうです。」
その後、僕は、どうしてここにダンジョンがあるのか正直に説明した。
「…ってな感じです。」
「そんな事が…」
「それで、どうでしょうか、ドリさん?」
「?」
「ここなら、人族と関わらずに暮らせますし、他の方もここに移り住めると思います。」
「それは、そうですが… そんなに甘える事は…」
最初に比べ、どうすべきか揺れ動いているように見えた為、もうひと押しする。
「それなら、ドリさんにお願いしたい事があります。」
「私に、お願いしたい事ですか?」
「はい、そうです。ドリさんに、ダンジョンの入り口に、結界を張って貰いたいんです。」
「…私の結界をですか?」
「はい。ドリさんに、結界を張って貰えたら、安心出来るんです。」
人を招く事は、そんなにないけど、あるとないとでは全然違う。
「だから、ドリさん。アードちゃんと一緒に、僕たちと来ませんか?」
僕は、そう言いながら、手を差し出す。
ドリさんは、少し迷った後、
「妹共々、宜しくお願いします!!」
僕の手をとってくれた。